地方で事業を営む中小企業の経営者、そしてマーケティング・広報ご担当の皆様。日々の業務に追われながらも、会社を一段上へ成長させる広告手法を模索していることでしょう。
特に「知名度を一気に高めたい」「競合がテレビCMを始めたので自社も検討したい」といった場面では、地元局や代理店から届く魅力的な提案に心が動くかもしれません。
しかし、大きな投資を決断する前に、ほんの少し立ち止まりましょう。その広告費は本当に“最善策”と言えるでしょうか?
私たちアール株式会社は、全国の地域企業を対象にホームページ制作とWebマーケティングを多数支援してきました。その経験から確信しているのは、高額なTVCMに頼るより、ホームページを整えSEO(検索エンジン対策)を地道に進めるほうが、長期的にははるかに費用対効果が高く「集客を自動化」する資産になり得るという事実です。
本記事ではその理由を、5年間の費用対効果シミュレーションとともに解説します。
- TVCMとWebサイト+SEO、5年間で成果に差がつく理由とは?
- WebサイトとSEOが実現する「集客の自動化」の具体的な仕組み
- 自社に最適な広告戦略を判断するためのポイント
- 少ない予算・人手でも成果を出すWeb集客の進め方
- 社内を説得できる、データに基づいた客観的な根拠
※本記事で用いるシミュレーションは、一般的な費用相場および効果予測に基づき、フェルミ推定を用いて構築したモデルケースの一つです。実際の成果は企業ごとの状況や施策の質により変動する可能性があります。
※フェルミ推定とは、限られた情報から「おおよその規模感」を合理的に見積もる手法。マーケティングでは「どれくらい問い合わせが来そうか」といった予測に活用できます。
目次 [非表示]
1.TVCMを検討する前に。その広告費、本当に最適ですか?
地域ビジネスを伸ばす手段として、テレビCM(以下、TVCM)が頭をよぎる瞬間は少なくありません。
地域の認知度を一気に高めたい、競合に遅れたくない、採用活動でも優位に立ちたい。こうした期待がTVCMを検討する動機になりがちです。
しかし一方で、
「費用に見合う効果は出るのか?」
「高額投資が失敗に終わったら?」
といった不安も同時に生まれます。限られた予算で広告費を捻出しなければならない地方中小企業にとって、TVCMは重大な経営判断です。
まずは決断の前に一度立ち止まり、「その広告費は自社の現状と目標に本当に合っているか」を冷静に考えましょう。より着実で効率的な選択が見つかるかもしれません。
1.1.「ウチもそろそろTVCM?」地方中小企業のリアルな悩み
- 認知度が広がらない
- 新規問い合わせが伸びない
- 応募者が集まらない
こうした声は地方企業から頻繁に聞かれます。かつて効果のあったフリーペーパーや新聞折込も反応が鈍くなり、宣伝しているつもりなのに成果が見えない状態へ陥りやすいのが現状です。
そんななか、近隣企業がTVCMを始めれば「取り残されるのでは?」という焦りが生まれるのは自然な流れでしょう。地元局や広告代理店から「いまだけお得なプランです!」と提案されれば心が揺れるのも無理はありません。
ただし経営層は冷静です。
「本当に売上につながるのか」
「巨額の費用を回収できるのか」
広告担当者は期待・制約・プレッシャーの狭間で最適解を模索しているはずです。
加えて、
- ホームページの情報が数年更新されていない
- ブログを更新する時間がない
- Webに詳しい人材がいない
といったホームページ活用の遅れも重なっていれば、課題はさらに複雑化します。
1.2.TVCMのメリットは一気に広がる認知と信頼
TVCM最大の魅力は、圧倒的な到達力と短期間での認知拡大です。
テレビはインターネット全盛の今でも家庭に深く根づくメディアであり、2021年3月末の内閣府の調査によると、2人以上世帯のテレビの普及率は96.2%に達しています。とりわけ地方では、シニア層まで幅広い年代に情報を届けられる点が健在です。
テレビ画面を通じてCMが流れれば、それまで自社を知らなかった視聴者にも一気に社名・商品・サービスを知らせる機会が訪れます。しかも、同じ映像を繰り返し目にすることで親近感が醸成され、「テレビで見たことのある会社」というだけで信頼度が高まる効果も期待できます。これは、放送局の厳格な審査を通過したコンテンツであることが視聴者に安心感を与えるためです。
さらに、映像と音声を組み合わせればブランドイメージを立体的に訴求できます。
- 温かみのある演出で親しみやすさを示す
- 洗練されたビジュアルで高品質な印象を強調する
といった表現は、視聴者の感情に直接訴えかけ記憶に残りやすい印象を植え付けます。実際、地域企業がTVCMを使って認知度やイメージを高めた事例は皆様の身近にも少なくないでしょう。
TVCMは短期間で広範囲に情報を届け、企業の信頼性とブランド価値を押し上げる強力な手段と言えるのです。
1.3.TVCMのデメリット – 中小企業が見落としがちなコストとリスク
しかし、その輝かしい魅力の裏側には、特に体力のある大企業とは異なる中小企業ならではの「落とし穴」も存在します。TVCMを検討する上で、決して見過ごしてはならないデメリットやリスクについても具体的に見ていきましょう。
想像以上に高額な制作費・放映費
地方局のCMとはいえ、制作費は企画や撮影の内容によって50万円から300万円、あるいはそれ以上かかることも珍しくありません。さらに、放映費も15秒スポットCMの短期パッケージで30万円から90万円程度が必要となり、継続的に放映すればその費用は雪だるま式に膨らみます。これは多くの中小企業にとって経営判断を伴う数百万円規模の大きな投資です。
※参考:テレビCM.jp「九州地方のテレビ局&CM放送料金」
費用対効果(ROI)が見えにくい
TVCMの効果測定指標としてGRP(延べ視聴率)やGAP(延べ注視量)などが用いられますが、「で、結局このCMでいくら売上が増えたの?」という問いに明確に答えるのは非常に困難です。「やった感」だけで終わってしまい、具体的な成果が分からず次の改善に繋げられないというケースも少なくありません。効果測定を重視したい担当者にとって大きな不安要素です。
効果が長続きしない(持続性の低さ)
TVCMの効果は、基本的に放映期間中に限定されます。放映が終われば認知度やアクセス数は急速に低下する傾向にあります。まるで打ち上げ花火のように、一瞬は華やかでも、その効果を持続させるためには継続的に高額な放映費を投入し続けなければなりません。
狙った顧客に届きにくい(ターゲティング精度の低さ)
TVCMは不特定多数の人に情報を届けますが、それは同時に、自社の商品やサービスに全く興味のない層にも広告費を使っていることを意味します。Web広告のように、特定の興味関心を持つ層に絞ってアプローチすることが難しく、広告費の無駄打ちが発生しやすい構造です。
制作・出稿にかかる時間と手間
CMの企画から制作会社との打ち合わせ、撮影、編集、そしてテレビ局の考査など、放映に至るまでには多くの時間と手間がかかります。専任の担当者がいない中小企業では、兼務している担当者の負担が大幅に増大する可能性があります。
いかがでしょうか。TVCMの魅力的な側面だけでなく、これらのコストやリスクを冷静に天秤にかけたとき「本当にこの投資は自社にとって最適なのか?」という疑問が湧いてきませんか?
もしかしたら、もっと少ない投資でより着実に、そして長期的に効果が持続する「賢い方法」があるのかもしれません。次の章では、TVCMとWebサイト+SEOという2つの選択肢を、具体的なデータを用いて5年間というスパンで徹底的に比較していきます。
2.【5年間の徹底比較】TVCM vs Webサイト+SEO – コスト・効果・ROIの真相
では、TVCMを軸にした戦略とホームページ(以下、Webサイト)+SEOを軸にした戦略では、長期的にどの程度の差が生じるのでしょうか。
以下では、一般的な中小企業における広告投資の実態や費用感、予測される集客効果をもとに、フェルミ推定※の考え方を用いてモデル化した2つの集客戦略・「TVCMを中心とした短期集中型アプローチ」と「SEOに強いWebサイトと継続的な記事作成を軸とした中長期育成型アプローチ」を、コスト・効果・ROI(投資収益率)という3つの観点から、5年間のスパンで徹底比較していきます。
※フェルミ推定とは、限られた情報から「おおよその規模感」を合理的に見積もる手法。マーケティングでは「どれくらい問い合わせが来そうか」といった予測に活用できます。
2.1.比較の前提 – 2つの集客モデル
まず、比較する2つのモデルの概要と前提条件を確認します。
モデルA:TVCM+LP(短期集中型)
- 内容
初年度にTVCM制作・放映と、受け皿となるランディングページ(LP)制作を外注。
- 1年目費用(概算)
TVCM制作費80万円 + 放映費30万円 + LP制作費20万円 = 130万円
- 運用イメージ
初年度にCMを集中投下し短期的な認知とアクセス増を狙う。2年目以降はCM放映は停止し、LPと既存記事の維持のみ(保守・サーバー費用 年6万円と仮定)。
モデルB:SEO最適化サイト+SEO記事(中長期育成型)
- 内容
SEOに強いWebサイト(コーポレートサイト想定)を構築し、継続的にSEO記事を作成・投入(月5.5万円分)。
- 1年目費用(概算)
Webサイト構築費60万円 + SEO記事費66万円 = 126万円
- 運用イメージ
継続的な記事投入により、検索エンジン経由のアクセスを着実に増やし、Webサイトを資産として育てていく。2年目以降も記事制作を継続(年間11万円の記事制作費+保守・サーバー費 年6万円=年17万円と仮定)。
共通の前提条件
- 1リード(問い合わせ)あたりの平均粗利
10,000円
- コンバージョン率(CVR)
TVCM経由(LP)→ 0.3% (CMを見て受動的にアクセスした層のため、やや低めに設定)
SEO経由(Webサイト)→ 1.0% (自ら情報を検索し能動的にアクセスした層であり、課題が明確なため、比較的高めに設定)
- 両モデルに共通のドメイン・サーバー費用(年6万円)を含む。
まとめると
モデル | アプローチ | 主な施策 | 1年目費用 | 5年累計費用 | 想定CVR |
---|---|---|---|---|---|
A | 短期集中型 | TVCM制作・放映+LP制作 | 130万円 | 154万円 | 0.3% |
B | 中長期育成型 | SEOサイト構築+記事継続 | 126万円 | 194万円 | 1.0% |
※筆者が実務経験や一般的な市場データをもとに構築したモデルケース
2.2.コスト比較 – 初期投資と5年間の累計費用
次に、5年間のコスト推移を見てみましょう。
年度 | モデルA費用 (万円) | モデルB費用 (万円) |
---|---|---|
1 | 130 | 126 |
2 | 6 | 17 |
3 | 6 | 17 |
4 | 6 | 17 |
5 | 6 | 17 |
5年累計 | 154 | 194 |
- 初期投資
1年目はモデルAが4万円高いだけで、ほぼ同水準。
- 2年目以降
モデルAは維持費のみ年6万円、モデルBは記事投資を続けるため年17万円。
- 累計コスト差
5年間ではモデルBの方が約40万円高くなる。
2.3.効果比較-予測リード獲得数の推移
コストだけでなく、最も重要な「効果」、つまり見込み客からの問い合わせ(リード)獲得数を比較します。
年度 | モデルA・予想リード | モデルB・予想リード |
---|---|---|
1 | 240 | 120 |
2 | 30 | 240 |
3 | 30 | 300 |
4 | 30 | 330 |
5 | 30 | 360 |
5年累計 | 360 | 1,350 |
効果の推移は、コストとは対照的な結果を示しています。
モデルAは、初年度に240リードと、TVCM効果により大きな成果を上げています。これは、短期間で一気に認知度を高めるCMの特性が現れた結果と言えるでしょう(※ただし、このリード数を達成するには、CMからLPへの誘導が非常にうまくいき、かつLPのCVR0.3%を達成する必要があります)。
しかし、2年目以降はCM放映がなくなるため、年間30リードへと急激に失速します。LPと既存記事からの細々とした流入に留まるためです。
一方、モデルBは、初年度のリード数は120と、モデルAの半分に留まります。これは、SEOの効果が表れるまでに一般的に3~6ヶ月程度の時間を要するためです。
しかし、2年目以降、状況は一変します。年間240リード、300リード、330リード、360リードと、獲得リード数が着実に増加していきます。これは、継続的に投入されるSEO記事がWebサイトの「資産」として蓄積され、検索エンジンからの評価が高まりアクセス数が増え続ける「雪だるま式」の成長を示しています。
フェルミ推定の考え方(アクセス数 × CVR = リード数)に基づけば、良質な記事が増えることで対応できる検索キーワードが増え、結果としてCVR1.0%を維持しながらアクセス数が増加し、リード数が増え続けるというロジックです。
結果として、5年間の累計リード数では、モデルB(1,350リード)がモデルA(360リード)の約3.75倍という圧倒的な差をつけることになりました。
2.4.ROI(投資収益率)比較-どちらが賢い投資か?
最後に、投じたコストに対してどれだけのリターン(粗利)を得られたかを示すROI(投資収益率)を比較します。ROIは「累計粗利 ÷ 累計コスト」で計算されます。
モデル | 累計粗利 | 累計コスト | ROI |
---|---|---|---|
A | 360万円 | 154万円 | 約2.3倍 |
B | 1,350万円 | 194万円 | 約7.0倍 |
結論は明らかです。5年間という中期的な視点で見ると、モデルB(Webサイト+SEO)のROIは、モデルA(TVCM中心)のROIを圧倒的に上回ります。 今回のシミュレーションでは、その差は約3.0倍にも達しました。
なぜこれほど大きな差が生まれるのでしょうか?理由は主に3つ考えられます。
- 効果の持続性
SEOで構築したWebサイトと記事は「資産」となり、CMのように放映が終われば効果がなくなる一過性のものとは異なり、長期的に集客効果を生み出し続けます。
- コンバージョン率の違い
自ら課題やニーズを持って検索するユーザー(SEO経由)は、CMをたまたま見たユーザー(TVCM経由)よりも、問い合わせに至る確率(CVR)が高い傾向にあります(今回のシミュレーションでは1.0% vs 0.3%)。
- 累計コスト
5年間の累計コストで比較した場合、モデルAの方が約40万円低コストでした。
もちろん、これはあくまでシミュレーションであり、実際の数値は企業の状況や施策の質によって変動します。しかしこの比較は、地方の中小企業が限られた予算の中で「賢い投資」を行う上で、極めて重要な示唆を与えてくれるはずです。
TVCMの短期的なインパクトも魅力的ですが、長期的な視点で「集客の仕組み」を作り、安定した成長を目指すのであれば、WebサイトとSEOへの投資がいかに有効かお分かりいただけたのではないでしょうか。
次の章では、なぜWebサイトとSEOが、特に地方中小企業の「集客自動化」に最適なのか、その理由をさらに深く掘り下げていきます。
3.なぜWebサイト+SEOは地方中小企業の「集客自動化」に最適なのか?5つの理由
前章の5年シミュレーションが示したとおり、Webサイト+SEO戦略(モデルB)はTVCM戦略(モデルA)に比べ、コストを抑えつつ圧倒的に多くのリードを獲得し、結果として桁違いのROIを生み出す余地があります。
では、なぜこれほど大きな差が生まれるのでしょうか?そして、なぜWebサイトとSEOが、多忙な地方の中小企業が目指すべき「集客の自動化」に繋がるのでしょうか?
その理由は、大きく分けて5つあります。一つずつ詳しく見ていきましょう。
3.1.理由1:圧倒的な費用対効果(ROI)-投資を無駄にしない
最大の根拠はROIの高さです。シミュレーションで示したとおり、
モデル | 累計粗利 | 累計コスト | ROI |
---|---|---|---|
A | 360万円 | 154万円 | 約2.3倍 |
B | 1,350万円 | 194万円 | 約7.0倍 |
ROI比較(5年累計)
- モデルA:ROI ≒ 2.3倍
- モデルB:ROI ≒ 7.0倍
と、両者には3倍以上開きがあります。
「限られた予算で最大の広告効果を出したい」というのは、多くの中小企業に共通する願いでしょう。WebサイトとSEOへの投資は、まさにその願いを叶えるための極めて効率的な選択肢なのです。
実際、当社が支援した同規模企業でも、SEOに着実に取り組んだことで数年後には広告費を大幅削減しながら問い合わせ数を安定確保できる事例が多数あります。
3.2.理由2:24時間365日働く「Web上の営業担当」-持続的な資産形成
Webサイトと、そこに継続して掲載する質の高いSEO記事は、一度公開すれば24時間365日休まず働く営業担当のような存在になります。
見込み客は「知りたい」「解決したい」と思った瞬間に、時間帯を問わずスマートフォンやPCで検索します。その検索結果に貴社サイトや記事が表示されれば、深夜でも早朝でも自動的に接点が生まれます。これこそが“集客自動化”の核心です。
※公開した記事が検索エンジンに評価され、時間が経つにつれて安定したアクセスを集め、さらに新しい記事を追加することでアクセスが積み上がっていく
ここが放映終了と同時に効果が途切れるTVCMと大きく異なる点です。TVCMは打ち上げ花火のように一瞬で認知を拡散しますが、効果は短命です。対照的に、検索上位へ定着した記事やページは検索エンジンが存在する限り半永久的に見込み客を呼び込み続ける潜在力をもちます。
WebサイトとSEOへの支出は単なる広告費ではなく、未来にわたって収益を生む“資産”への投資です。コンテンツを追加し、検索評価を高めるほど資産価値は雪だるま式に膨らみます。
現代では、BtoB(企業間取引)でもBtoC(消費者向け取引)でも、購買プロセスの多くがオンラインで始まります。顧客はまず情報を検索し、比較検討します。その最初の段階で、あなたの会社のWebサイトが「営業担当」として顧客を迎え入れ、有益な情報を提供できれば、大きなアドバンテージとなるのです。
3.3.理由3:効果測定が明確で改善しやすい-データに基づいた経営判断
TVCMにはGRPなどの指標がありますが、それが具体的な問い合わせ数や売上額を示すわけではありません。
一方、Webサイト+SEOであれば、施策の成果を数値として可視化できます。
測定可能な指標
- Webサイトへのアクセス数(どれくらいの人が訪れたか)
- 流入経路(どこから来たか – 検索エンジン、SNS、広告など)
- 検索キーワード(どんな言葉で検索して来たか)
- ページビュー数や滞在時間(どのページに興味を持ったか)
- コンバージョン数(問い合わせ、資料請求、購入などの成果数)
そして、これらのデータから正確なROIを算出できます。
Google Analytics や Google Search Console といった無料のツールを使えば、これらのデータを誰でも簡単に確認できます。
データが明確に分かるということは、「何がうまくいっていて、何が課題なのか」を具体的に把握できるということです。例えば、「アクセスは多いのに問い合わせが増えない」ならWebサイトのデザインや導線に問題があるのかもしれませんし、「特定のキーワードからの流入が少ない」なら、そのキーワードに対応する記事を追加する必要があるかもしれません。
このように、データに基づいて仮説を立て、施策を実行し、その結果をまたデータで検証する(PDCAサイクル)ことが容易になるため、経営判断を下す上で非常に大きなメリットになります。
3.4.理由4:「今すぐ客」に直接アプローチ-無駄のない効率的な集客
TVCMは良くも悪くもマス向けメディアです。そのため、まったく興味のない視聴者にも広告費を投下してしまい、費用の一部が空振りになる可能性があります。
一方、SEOでは事情が異なります。Googleなどで検索を行うとき、ユーザーは必ず明確な意図(インテント)を持っています。たとえば、
「〈地域名〉+〈サービス名〉おすすめ」
「〈悩み〉+解決方法」
「〈商品カテゴリー〉+比較」
といったキーワードで検索する人は、「すぐに情報がほしい」「最適なサービスを探したい」という顕在ニーズを抱えた“今すぐ客”です。
SEO対策とは、この具体的な検索意図に対し的確な答えとなるコンテンツを用意し検索結果の上位に表示させる取り組みです。結果として、購買意欲の高い見込み客を最小コストで効率良く呼び込めます。
現に特定の課題解決キーワードで検索上位を獲得した結果、問い合わせが大幅に増加したという中小企業の事例は数多く存在します。
「限られた予算で最大の効果を狙いたい」と考える地方中小企業にとって、今すぐ客にピンポイントで届くSEOは極めて有力な戦略と言えるのです。
3.5.理由5:リソース不足でも始められる・続けられる-外注と自動化で乗り切る
「WebサイトやSEOが重要なのは分かったけど、ウチには専門知識を持つ人材も、専任の担当者を置く余裕もない…」こうしたリソース不足の悩みは地方の中小企業にとって深刻な問題です。しかし、Webサイト+SEO戦略は、必ずしもすべてを社内で行う必要はありません。
- 外部パートナーの活用
Webサイト制作会社や、SEO対策・記事作成を専門とする会社、あるいはフリーランスなど、信頼できる外部パートナーに業務を委託することが可能です。自社の目的や予算に合ったパートナーを選ぶことが重要です。
- 段階的な内製化
最初は外注中心でも、簡単なブログ更新や情報発信など、できる範囲から社内担当者を決めて内製化を進めることも可能です。
- ツールの活用
MA(マーケティング・オートメーション)ツールなどを将来的に導入すれば、メール配信や顧客管理といった一部業務のさらなる自動化も視野に入ってきます。
- コスト削減の工夫
例えばSEO記事作成を外注する場合でも、記事の骨子(構成案)だけは社内で作成し、ライティングやリライトのみを依頼することでコストを抑えるといった工夫も可能です。
TVCMのように、制作から放映まで多くの関係者と煩雑なやり取りが発生するのに比べ、Webサイト+SEOは、外部の力を借りながら自社のペースで始めやすく、続けやすいという側面も持っています。まさに、リソースが限られる中小企業に適した戦略と言えるのです。
WebサイトとSEOへの投資は、単なる広告宣伝費ではありません。
WebサイトとSEOへの投資は、
- 投資効率(ROI)が高く、
- 24時間365日働く「Web上の営業担当」となり、
- 効果測定と改善が容易で、
- 購買意欲の高い顧客に効率的にアプローチでき、
- リソース不足でも取り組みやすい、
- 持続的な成長と「集客の自動化」を実現するための、未来への「資産形成」なのです。
4.それでもTVCMを検討したい場合-Web戦略との相乗効果を狙う活用法
ここまで、長期的な費用対効果と集客自動化の面でWebサイト+SEOが優位である理由を示してきました。特に、予算も人員も限られる地方の中小企業にとっては、まずWebの土台を固めることが最も堅実な一手です。
もっとも、TVCMがまったく無用というわけではありません。テレビは今なお短期間で広範囲に認知を拡大でき、映像と音声で強烈なインパクトを与えられるメディアです。
ポイントは、TVCMを「主役」ではなく「切り札」として位置づけること。そして、Web戦略という基盤の上に限定的・戦術的に乗せることで、双方の強みを掛け合わせられます。
4.1.スポット活用が効果的-短期集中でインパクトを最大化
TVCMの爆発力を最大限に活かすには、常時放映するのではなく特定タイミングでの“スポット投下”が中小企業に適しています。
- 新商品・新サービスのローンチ(地域で一気に話題を拡散)
- 大型セール/イベント告知(短期集中で来店・来場を促進)
- 期間限定キャンペーン(限定性を打ち出し即時反応を狙う)
- 採用強化期間(企業の魅力を伝え応募者を急増)
重要なのは「目的設定」
そのCMで「何を」「いつまでに」「どれくらい」達成したいのか、具体的な短期目標を明確に設定することは不可欠です。(例:「〇月〇日のイベントに〇〇人集客する」「キャンペーン期間中にWebサイト経由の申し込みを〇件獲得する」)
目標が曖昧なままでは、効果測定もできず、「やった感」だけで終わってしまいます。
予算配分のバランス
あくまでWebサイトとSEOという土台があってこそのスポット活用です。Webマーケティングの継続的な予算を確保した上で、無理のない範囲でTVCMの予算を検討しましょう。基本戦略であるWebへの投資を疎かにしてはいけません。
このように、目的と期間を絞ってスポット的に活用することで、TVCMの持つ短期的なインパクトを最大限に活かしつつ、コストを抑えることが可能になります。
4.2.Webとの連携で効果倍増:クロスメディア戦略の考え方
スポット活用であっても、TVCM単体で完結させるのではなく、必ずWebサイトと連携させる「クロスメディア戦略」の視点を持つことが効果を最大化する鍵となります。
TVCMは、あくまで認知のきっかけを作る役割と捉え、興味を持った視聴者をスムーズにWebサイトへ誘導し、そこでより深い情報を提供したり、具体的な行動(問い合わせ、購入など)を促したりする流れを設計するのです。
CMからWebサイトへの誘導設計
「詳しくはWebで検索」
CMの最後に、検索窓に会社名や特徴的なキャッチフレーズを入れる演出を加え、【〇〇で検索】とアナウンスする。
Webサイトアドレス(URL)やQRコードの表示
短時間で読み取れるよう、シンプルで分かりやすいものが望ましい。
専用ランディングページ(LP)の用意
CMの内容に特化したLPを用意し、CMを見た人が求める情報に直接アクセスできるようにする。(キャンペーン専用LPや採用情報LP)
認知(TVCM)→ 理解・検討(Web)の流れを作る
CMでは伝えきれない商品の詳細情報、サービスのメリット、お客様の声、導入事例などをWebサイトに豊富に用意しておきます。
CMで興味を持った人がWebサイトを訪れた際に、「なるほど、もっと詳しく知りたい」「この会社に相談してみよう」と思えるような、質の高い情報とスムーズな導線が重要です。
Web広告(リターゲティング等)との連携
CM放映期間中にWebサイトを訪れたユーザーに対して、リターゲティング広告(一度サイトを訪れた人に再度広告を表示する手法)を配信し継続的にアプローチすることも有効です。CMで得た認知を忘れさせず再検討を促します。
このように、TVCMとWebサイトは対立するものではなく、それぞれの強みを活かし弱みを補い合うことで相乗効果を生み出すことができます。ただし繰り返しになりますが、その土台となるのは、しっかりと作り込まれたWebサイトと、継続的なSEOによる集客基盤です。
Webサイト+SEO戦略を基本としつつ、必要に応じてTVCMをスポットで活用しWebと緊密に連携させる。これが、限られた予算の中で最大の効果を目指す地方の中小企業にとっての現実的かつ効果的なメディア戦略と言えるでしょう。
まとめ-Webサイト×SEOは“資産”への投資
5年シミュレーションが示した結論は明快です。TVCMは瞬間的な拡散力こそあるものの、費用は高く効果は短命。対してWebサイト+SEOは、初期費用を抑えながら年を追うごとに成果が積み上がり、ROIはTVCMの約3倍以上に達しました。
WebとSEOを選ぶ理由は、以下の5つの大きなメリットがあるからです。
- 圧倒的な費用対効果(ROI):少ない投資で大きなリターンが期待できる。
- 24時間365日働く「Web上の営業担当」:持続的な資産となり「集客自動化」を実現する。
- 効果測定と改善の容易さ:データに基づいた的確な判断とPDCAが可能になる。
- 「今すぐ客」への効率的なアプローチ:購買意欲の高い層に無駄なくリーチできる。
- リソース不足でも始めやすい:外部パートナー活用や段階的内製化が可能。
もちろん、TVCMが活きる場面もあります。新商品発表や期間限定セールなど、短期で強いインパクトを狙うときです。ただしCMはWebへ誘導する“ブースター”と考え、基盤となるサイトとSEOを先に整えるのが賢明です。
まずは自社サイトを点検し、小さくてもいいのでSEO強化に着手してください。時間をかけて育ったコンテンツは広告費に頼らず集客を生み続ける”未来の資産”になります。
よくある質問(FAQ)
以下は、多くの担当者様から寄せられるご質問とその回答をまとめました。
Q1:SEOは結果が出るまで時間がかかるのでは?
A:確かに即効性は低く、早くても4 か月、一般的には半年〜1年ほど必要です。
ただ、一度上位表示されれば広告費を払わなくても見込み客が絶えず訪れる “自動集客” の基盤になります。待ちきれない場合は、並行してリスティング広告など短期施策を使う方法もあります。
Q2:サイト制作や記事作成はどこへ頼むべき?
A:依頼先は制作会社・Web支援会社・フリーランスなど多様です。
選ぶ際は ①SEOの実績 ②業界理解 ③相談しやすさ ④費用対効果の説明力 を確認してください。複数社に話を聞き比較すると安心です。
※当社アール株式会社も大分県を中心にサイト制作やSEO記事を手がけています。お気軽にご相談ください。
Q3:社内に専門担当者がいなくても大丈夫?
A:問題ありません。よくある進め方は次のとおりです。
社外:サイト設計、詳細なSEO分析、執筆・編集など専門領域を委託- 社内:簡単な更新、顧客の声の収集、外部パートナーとの連携
更新が楽な CMS(WordPress など) を入れておくと、非専門でも管理しやすくなります。
Q4:TVCMとWebを両方行うときの予算配分は?
A:両方使うこと自体は問題ありません。ただし限られた予算なら、まずWebとSEOで土台を作るのが先決です。
Webで成果が見え始めた段階で、短期キャンペーンなど目的を絞ってTVCMをスポット投入すると費用対効果を保てます。
Q5:WebサイトとSEOへの投資はいつ回収できる?
A:回収期間は商材の粗利、市場競合度、施策量、サイトのCV率などで大きく変わります。
本コラムの試算では、SEO中心モデルが3年目からROIを大きく伸ばし、5年間で投資額の約7倍を回収できる可能性を示しました。短期回収は難しくても、長期視点では費用以上の価値が期待できる施策です。
Q6:大分県内でWebマーケティングを相談できる会社はありますか?
A:はい、ございます。私たちアール株式会社は、大分県大分市に本社を置き、地域に根ざして活動している会社です。
私たちは、単に見た目の良いホームページを作るだけでなく、
- SEOに強く、集客できるホームページ制作
- 顧客の課題を解決し、検索エンジンに評価される質の高いSEO記事作成
- データに基づいたWebマーケティング戦略の立案・実行支援
- 業務効率化に繋がるGoogleWorkspaceなどの導入支援
などを通じて、大分県内をはじめとする多くの地方中小企業様のデジタル化と持続的な成長をサポートさせていただいております。
「何から始めれば良いかわからない」「自社に合った戦略を提案してほしい」「費用感が知りたい」など、どんな些細なことでも結構です。お気軽にご相談ください。貴社の課題解決に向けて、全力でお手伝いさせていただきます。
※このコラムの内容について、さらに詳しい情報や個別の相談をご希望の方は、以下の「無料相談」からお気軽にお問い合わせください。
