アール株式会社が2018年11月から導入している「リモートワーク」。
今回は弊社がお世話になっている、人事コンサルティングや助成金・補助金支援事業などを展開する「㈱セイシン総研」さんと、ビジネスにおいて必要不可欠な通信機器の販売、レンタル、リースを行っている「AIDA LINK(アイダリンク)株式会社」さんをお迎えし、リモートワークを取り入れるための、助成金や補助金をどう利用していくべきなのか?や、リモートワークを行う上でのハード面・ソフト面についてお話させていただきました。
この3社対談が、これからリモートワークを検討する多くの中小企業様の参考になれば幸いです。
※衞藤秀隆(以下:衞藤)
アール株式会社 代表取締役社長
※辻優作(以下:辻)
(株)セイシン総研 代表取締役
人事コンサルティング会社で、助成金・補助金の受給支援・indeed活用採用支援や、事務代行サービス、社長・NO.2を対象に教育研修や人事評価制度の導入支援など行っている。(株)セイシン・コンピタンス・サポート取締役兼務
Webサイト:https://seisin-soken.com/
※安永満(以下:安永)
AIDA LINK株式会社 取締役 営業企画部 部長
OA・通信機器の販売、レンタル、設置/配線工事、保守/サポートを行っている会社で課題を抱えるお客様の気持ちに寄り添い、多種多様な現場経験から類似した事例を紹介することで最適な解決策の実現支援を行っている。
Webサイト:https://aida-link.com/
目次
はじめに
衞藤 > 本日は宜しくお願い致します。
弊社では今期からリモートワークを導入することになりまして、今日も実際に7名のスタッフのうち、3名が在宅ワークをしています。
ルールとしては、「ミーティングのため毎週金曜日だけ出勤する」というものです。あとはスタッフ全員が見ることのできる共有のカレンダー(Googleカレンダー)に、在宅か出勤かの勤務形態を入力して、朝6時から20時までの間に7時間働けばいいというシステムです。
休憩時間は勤務時間内にMFクラウドの勤怠管理に入力してもらっています。だから会社としては、その中でトータルの7時間を管理している、という感じなんです。
リモートワーク導入にあたり準備期間も当然ありまして、約2年前からリモートワークを導入するうえで、どんなことが支障になるかなど、業務上問題となりえることをピックアップしていました。
県内でリモートワークを導入できる企業はまだ少ないかもしれませんが、世の中的にもこれだけ働き方改革や、人材不足が叫ばれているなか、私たち企業側としても何らかの形でこうした問題に取り組んでいかなければならないんじゃないかと常々考えています。
そこで今日はみなさんと、リモートワークを行う上での課題や、今後取り入れた方がいい事柄などについて、色々とお話しできればなと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
助成金ビジネスのプロがサポート。リモートワークに関する助成金について
衞藤 > まずはリモートワークに関する助成金について、株式会社セイシン総研の辻さんに詳しく伺いたいと思っていまして。
いま、テレワークの助成金というのはどういった項目が当てはまるのでしょうか?生産性向上に関わることが多い印象があるんですが。
辻 > そうですね。概要としては、「時間外労働制限と労働時間の設定の改善、仕事と生活の調和推進のため、在宅またはサテライトオフィスにおいて就業するテレワークに取り組む中小企業に対して、実施に要した費用の一部を助成する」ということですね。
支給対象になる取り組みには、「テレワーク用の通信機器の導入・運用」などがあります。
衞藤 > 助成金でPCが買えたら一番いいなとは思ってはいたのですが、「通信機器の導入」といってもPCはダメなんですよね?
辻 > そうですね。どの助成金も車やPCなどの「物としての財産」というくくりは、禁止されています。
衞藤 > 例えば、ヴァーチャルマシンといった仮想のコンピューターを導入する場合は、助成対象になるんですか?
辻 > それは、対象になると思いますよ。
通信機器の導入以外であれば、
〇保守サポートの導入
〇クラウドサービスの導入
〇就業規則、労使協定の作成変更。(これは社労士さんに支払いになります)
〇労務管理担当者や労働者に対する研修、啓発(社内の認知もいるので)
などが、助成金の支給対象になる取り組みですね。
こうしたテレワークに限らず、助成金申請で一つ注意というか、心得ておいて欲しいことは、助成金申請は解釈の違いや歩み寄り方で受けれる受けれないがあったりするので、助成金を受けることを目標にして、どういう受け方があるかというアウトプットからインプットにもっていかないとなかなか前に進まないというところがあるんです。私たちはどちらかというと、そういう部分で各会社さんに並走している感じですね。
当然、社労士さんや私たちであれば、「これなら申請はできますね」というところから入るんですけど、やっぱりいくつか障害ってあるじゃないですか。そうした時に結局そこであきらめるのか、申請を取ることを前提にその障害をなんとかクリアしながら進めるのかで結果が大きく変わってきます。
なんでもそうだとは思いますが、やはり助成金の場合はとくに解釈の仕方、歩み寄り方が大切ですから、どうやってゴールまで繋げていくかというところを一緒になって考え、取り組めるかが重要ですね。違法はできないですからね。
衞藤 > なるほど。解釈の仕方で採用されたりされなかったりがあるんですね。
辻 > ある程度、仕様というのは決まっているので、それにどう乗せていくかが重要なのではないでしょうか。
衞藤 > リモートワークの助成金の場合、上限はいくらくらいですか?
辻 > 一人あたり、20万円くらいですね。
衞藤 > それは大きいですね。それはぜひ改善するなかでは使っていきたいですね。
辻 > 補助率3/4で20万円ですので、
衞藤 > 1人30万弱ですか。
辻 > それで1企業あたり上限が150万円です。
衞藤 > うちは、7人ですから…
安永 > PC5台買えますね(笑)(PCが助成対象であれば…)
辻 > さきほど列挙した支給対象をどれかひとつというよりは、御社が実行するにあたってこれが必要だ、というものを申請した方がいいですね。
衞藤 > そうですね。だからビジネスホンと、コレとコレ、というふうに定めていけばいいんですね。
辻 > 私たちもテレワークについては、まだ数えるほどしか支援していないのですが、テレワークを取り入れることができる業種はかなり絞られるのではないかとは思います。ただ、おそらく今後の社会ではどんどん増えていくとは思っていますので、助成金という側面から色んな企業さんのサポートができたらと考えています。
リモートワークを導入するにあたり、日常業務の課題をOA機器・通信のプロがサポート
安永 > アールさん側では今、リモートワークに関する助成金などを探していると思うんですが、その他通信・システム環境において現在何か問題が起きていることとか、在宅ワークをしていて不便な点などはありますか?
①データ管理
衞藤 > そうですね。弊社は以前からゆくゆくはリモートワークに移行することを前提に準備をしていました。そうしたなかでデータ管理やデータのセキュリティ対策においては、現在Googleの「G Suite」というクラウドの有料サービスを使って対応しています。
データの管理に関してはもともと社内サーバーを使っていたんですよ。社内サーバーにも2〜3TBくらいデータがあったりして、これをどうやって移行しようかということは以前から頭を悩ませていました。
あとセキュリティを保つために、固定IPアドレスをとって社内サーバーには固定IPアドレスからしかアクセスできないような状態にもしていました。
ですが、固定IPによるアクセス制限をかけてしまうと、休日に緊急で対応をせざるを得ない案件があった場合、会社に来ないとできないような状態でして、ここにもストレスを抱えていましたね。
それがG Suiteの有料サービス(月額1200円のBusiness)を使うことによって、Googleドライブへのデータのクラウド保存が無制限となり、セキュリティに関しても、アドミン(管理者)権限によって社内のすべててのデータに対し、「いつ誰が何をした」かというとこまで確認でき、どこからでも操作できるので、もし誰かがPCを紛失した場合でも、GメールはじめGoogleのすべてのサービスを管理者側でワンクリックで停止することができるんです。
このG Suiteの有料サービスの導入により、データ管理、そうしたデータに対するセキュリティに関しては一応の解決はできているかなと思っています。
ただ、社外でデータを扱うときに、どこのネット環境を利用するのか、ということは慎重に考えないといけないですね。
安永 > そうですね、フリーWi-Fiとかだとセキュリティは甘くなりますよね。
衞藤 > ですね。しかしうちのスタッフも一応はこういう業界の人間なので、そのへんはきちんと認識できているかとは思いますが、ただ、自宅のネット環境でのセキュリティは大丈夫か?というところの課題は残っています。
安永 > いま、アールさんは会社として、リモートワーク用に、例えば無線ルーターみたいなものを支給したりはしていないんですか?
衞藤 > してないですね。自宅のWi-Fiを使わせてもらう、ということも含めた意味で在宅勤務手当として支給しています。
あと、弊社ではデータのアップロードやダウンロードを行うことが頻繁にあって、通信データ量が非常に多いので、モバイルWi-Fiだとちょっと対応できないかなぁとも思いますね。
安永 > なるほど、確かにそうですね。
②会社にかかってくる電話対応
衞藤 > あとは、社内にかかってくる電話対応の問題もあります。
受付に関しては今、電話受付代行サービスを提供している企業があるので、そのあたりのサービスを利用すれば、代表の電話対応はクリアできると思うんですが、次にそれが個人に割り振られたとき、どうやって電話をかけ直すかなどの問題があります。
果たして、自分の携帯でかけ直すのか?子機を使うのか?という点を解決しなくてはいけないですよね。
安永 > 今御社で使っていらっしゃる電話は、ビジネスホンですか?
衞藤 > いえ、家庭用の電話機を使っています。
クライアントさんからは、各々の携帯電話に直接か、チャットワークでのやりとりがほとんどなので、もともとかかってくる電話の数はそんなに多くはないんですが、かかってくるものとしては業務的な、例えば金融機関とか、総務・経理的な内容の電話がほとんどですね。
ただ、会社に電話番号が存在する限り、まったく対応する人間がいない、というわけにはいかないんですよね。
安永 > いま転送サービスなどは使われているんですか?
衞藤 > 転送サービスも使っていませんね。
安永 > 費用はかかりますが、着信転送を申し込むめば、会社に誰もいなくていいですけどね。これはNTTのサービスでもありますから。
衞藤 > そうですね。もしくは、受付代行サービスの利用っていうのもありますよね。
安永 > 内容の聞き取りまでしてくれて、自社の社員リストを準備していれば、「後ほど〇〇から折り返します」というふうに言ってもらえますよね。
衞藤 > こうしたサービスだと、逆に電話受付代行サービスは質が高ければ需要は高いですよね。これってビジネスチャンスですね(笑)。このあたり辻さんはどう思われますか?
辻 > そうですね。私たちは人材ビジネスをしているのですが、そのなかでも「会社のファーストフォローを受けてほしい」という要望は、そこまで多くはないんですけど実際にはありますね。
衞藤 > やっぱりそうなんですね。しかしビジネスとして行うとなると、電話は企業にとってはお客様とのファーストコンタクトの場となることもあるので、やはり応対にもある程度の専門的なスキルが必要ですよね。最初の印象って大きいですからね。
安永 > そういうサービスがあるのであれば、ぜひうちもお願いしたいですね(笑)。
ただうちは実際、機械的なトラブルなどの問い合わせが多いので「そのあたりは専門的な応対をしなければいけない。」という自社内でのイメージがあり、どうしても、ちょっと外注は心配だな、と思ってしまうところもあります。
衞藤 > みんな、そこをためらっていると思うんですよね。
安永 > でも、しっかりとしたマニュアルがあれば、意外と問題はないんでしょうけどね。
辻 > そうですね、技術的には可能なんでしょうが、結局は各社の少ないボリュームをたくさん受けられるかという問題なんですよね。
コールセンターのように「大きい企業の分を全部引き受けます」だと可能性は高いんですが。1日に10本あるかどうかわからないお問い合わせに対する応対という仕事を、果たして100社受けることができるのか?ということですね。
衞藤 > なるほど。結局100社分のいろんなマニュアルを把握しないといけない、ということになりますもんね。
辻 > ロットは小さく、種類だけが多くとなると結構大変で、、そうした問題を拭えれば、私たちも事業として力を入れられるんですけどね。
衞藤 > 実際にアイダリンクさんは、現在電話対応をどのようにされているんですか?
安永 > うちの代表のフリーダイヤルは、本社にかかるようになっています。だから、本社が受けるのですが、それをその場で対応するのではなく、そこから各担当者に割り振るようになっているんです。
そのときに、誰からどんなニュアンスでかかってきた電話なのかが担当者にとって一番重要になるので、通話開始した段階から1件づつ会話を録音をさせていただいていまして、そこで録音したものを、ボイスメッセージとして、担当者の携帯に飛ばすという対応をしています。
ボイスメッセージ(通話録音)は、今のビジネスホンであれば標準でついている機能なので、「電話の頻度が少なく家庭用の電話機でも充分」という会社さんでも通話録音の機能が必要なために、ビジネスホンを導入しているというところも多いんです。
衞藤 > お客様からかかってきた電話が、例えば怒っているのか、そうでないのかなど、感情の伝わり方も重要ですよね。フリーダイヤルの電話を受ける方は決まっているんですか?
安永 > うちは事業部が9つあるんですが、そのすべての事業所の分を2名のスタッフで担当しています。お客様からのご用件を聞いて、担当者から折り返させる、という形です。
その場で対応する専門スタッフというよりは、昔あった電話交換手のような役割を担っていますね。
リモートワークをサポートするビジネスホンの各種機能
衞藤 > 他にどんな便利機能がビジネスホンついてたりするんですか?
安永 > 先ほど申し上げたボタンで割り振りするものも、最近では標準でビジネスフォンについていますね。
あとはお客様のお問い合わせに対して、音声で応答する「IVR機能(音声応答自動振分機能)」というサービスもありますね。
IVR機能とは、ある程度使用者側で「こんな電話が多いだろう」という予測のもと、音声メッセージをあらかじめいくつか作っておいて、お客様を担当の窓口に振り分ける、というものです。
衞藤 > さっき言ったような、何の問い合わせか、ということですね。
安永 >そうです。これも標準装備で最大8階層まで振り分けられるものもあるので、電話の用件が故障なのか、それとも新規商品の問い合わせなのかということを、受ける側の前準備ができた状態で電話に出られるということがメリットです。
辻 > 携帯電話会社に問い合わせをすると、目的別にプッシュボタンで選択するようになっていますが、それと同じ感じですか?
安永 > イメージ的にはそんな感じです。大手の企業さんは独自のシステムで入れていますが、これは中小企業向けのSサイズという、ある程度パッケージ化されたものになります。
メーカーさんによっては、そこにCTIの機能がパッケージ化されているものもあります。
衞藤 > なるほど。他にもドアホン連携で電気錠の開錠可能というのもあるんですね。うちの会社でいうと、各自のデスクでボタンを押せば入り口の電気錠があくということですね。
安永 > そうですね、電話機のワンタッチボタンで開錠できればわざわざ鍵を開けに行かなくていい、ということです。
衞藤 > ビジネスフォンはIoT化がどんどん進んでいて、結構なんでもできてしまうんですね。
例えば一番ミニマムなものだと、導入費用ってどれくらいかかるんですか?
安永 > ビジネスホンの場合、大本(おおもと)の主装置にどういう機能をのせるかということで金額が変わってくるんです。PCと同じと思っていただいたらわかりやすいですが、PCってメモリやハードディスクを入れますよね、それと同じで、会社にとって必要な機能をこの主装置の中に入れていく、という感じです。
衞藤 > それで、CTIの連携もできるということですね。
安永 > 単純にコレとコレであれば、20万~30万円くらいで構築できます。
あとは、今はクラウド関係とか月額のランニングコストでペイしているような電話設備もあります。
衞藤 > あ、クラウド電話ってありますね。確かにあれは便利だなあと思うんですが、品質などに対する疑問もあります。実際どうなんですか?
安永 > クラウド電話は、自社独自で構築しようと思えばそれも可能ですし、ある程度パッケージ化されたような機能をみんなで使うようなシステム(サービス)であれば、月額のランニングコストだけで初期費用はかからずに導入できます。
一方、購入型のビジネスホンに関しては、イニシャルはかかりますが、ランニングコストはかからない。
ビジネスホンやクラウド電話は、ある程度自社で実現したいことが決まってから導入した方が長期的にみて良いと思いますね。
衞藤 > 確かにそうですね。参考になります。
あと、CTIなどとの連動を考えたときに、ビジネスホンと販売管理が今後どう繋がっていくのかな?ということを考えます。
それぞれで別々のままなのか、もしくはCTIと販売管理が一気に連動していくと、もうそれだけを見ておけば、顧客情報はすべてわかる、というふうになるのではないかと思うんです。
顧客データをあちこち登録という流れより、一本化されたらすごく便利だなと思いますね。
実際に県内企業でCTIをつけてるところって多いんですか?
安永 > いやぁまだまだですね。少ないです。
衞藤 > このCTIもランニングコストのサービスにして、パッケージにしてポンと販売できると結構みんな導入すると思うんですけどね。
安永 > そのあたりを言うと、クラウド系はいろんな連携はできますよね。
衞藤 > 御社の新しいサービスとしてもおもしろいのではないかと思いますよ。
安永 > そうですね、ありがとうございます(笑)。
衞藤 > 電話受付などに関して特に個人事業主は、お客様の「お名前、電話番号、住所」をその都度聞かなければならないと思うんです。おそらくマニュアル化されているので。
ぼくも個人的によく行くお店で、ここ7、8年ずっと聞かれ続けているのですよね(苦笑)。逆に言えば絶対にお客様の情報を間違えてはいけない、という丁寧な接客を心がけようとするからこそ、そうやって聞かれるとは思うんですが。
でも、小さなお店でもCTIを導入すれば顧客のデータがすべて管理できて、通話前にお客様情報が表示されるので、電話対応もすごくスムーズになるんだろうなと思います。
将来的には、そうした顧客の情報が個人のスマホに飛んだりもするんですかね?
安永 > 実はスマホとの連携はすでに始まっているんです。一時期前までは社内にアンテナを立ててPHSへ飛ばすといったものだったんですが、いまは携帯電話の公衆網を使って、そこから自分のスマホを内線電話機に見立てて設定ができるようになっています。
衞藤 > アイダリンクさんでもCTIは取り入れているんですか?
安永 > うちは、まだ一部だけですね。
まだ固定のお客さまと新規のお客さまの電話窓口を一本にしているので、これをお得意様用と新規のお客様用、というふうに番号を分ければ、ある程度有効的に活用できるかなとは思っているのですが、現状は代表のフリーダイヤルの番号が根付いている感じなんですよ。
でも、ゆくゆくお得意様専用の番号ができれば、「いつもお世話になっています」というような対応ができますので、そこはうちも拡張していきたいし、機能追加していきたいなと考えていますね。
③書類のコピー(印刷)
衞藤 > なるほどですね。こうしてお話を聞いていると、ハード的な面ではどこでも情報を飛ばせて、どこでも働けるように、常に進化していっているんですね。
安永 > そうですね。それこそうちで提供しているコピー機で、そのような機能がついているものもあるんですよ。例えば「ネットワークプリントサービス」というものがありまして。
衞藤 > 外から飛ばして会社で印刷できるといういうものですか?
安永 > いえ、実は会社ではなく「コンビニ」なんですよ。
衞藤 > ええー、コンビニなんですか。
安永 > そうなんです。クラウド上に社内からデータをあげてもらったら、それをコンビニからプリントアウトできるんです。しかも清算は月ごとに後払いでいいんです。
衞藤 > もはや、自社でプリンターを持つ必要がないんですね。
安永 > はい、出張先や外出先の営業マンとかでも、クライアントに提案する資料を、コンビニで印刷してから行くというようなことができるというわけです。
衞藤 > 後から清算というシステムがいいですよね。その都度支払う必要がないのが、手間がかからなくていいと思います。これは、いつから始まっているサービスですか?
安永 > すでに2003年にスタートしていて、意外と長いんですよ。
ただこれはシャープのマルチコピー機が設置されているコンビニでのサービスなんですが、このシャープ製のコンビニシェア率が高くなったのは最近のことだと思います。
衞藤 > ゆくゆくは、コンビニにスペースを設けてシェアオフィスみたいなことも始まるかもしれないですね。だって、荷物の受け取りもできるし、コピー機もあるし、カフェメニューもあって、お昼ごはんも食べられるんですから。
コンビニオフィスとかできたら、ハブになりますよね「コンビニ」が。面白いなぁ。
④ネットワーク・情報セキュリティ
衞藤 > あとセキュリティ面で何かおすすめのサービスがありますか?
安永 > セキュリティ面に関しては、弊社も特定の商品を取り扱っているわけではないのですが、お客さんの希望に沿ったサービスを探してご提案することが多いです。
リモートワーカーさんに適しているのは、「仮想デスクトップ」という、個人のプライベートで使用する作業領域と、法人で利用する作業領域とを、キーを使って分けるというものがあります。
なかなかPC導入というと、仕事用・自宅用とそれぞれ2台を会社で支給するのは難しいと思うんですけど、そのときに領域を分けて、片方のセキュリティはみんながアクセスできて、もう片方はある程度権限を持った人しかアクセスできないという風に分けることができるんです。
衞藤 > なるほど。ヴァーチャルマシンにしていけば、インターネットにつながれば、会社のPCはソフト上では個体としてあるということになりますよね。それは便利ですよね。
でも、ヴァーチャルマシンって、1台あたりの月額のランニングコストが結構かかると思うんですが…
安永 > それはシステムや台数にもよりますよね。
衞藤 > そうか、、うちが提携している会社のエンジニアスタッフは、いろいろなOS使っているので、みんなヴァーチャルマシンで動かしているんですよ。ひとつのPCに複数のOSが入っている状態で。
Macだけど、WindowsもLinuxも動く、という状態にしていってるんです。それって仮想なんですよね。だからその状態を会社で作ればいいってことですよね。確かにそれもありだなぁ。
ぜひランニングコストを知りたいので、今度お見積りお願いします(笑)。
辻 > これは、いくらくらいするんですか?
安永 > 実際に機器自体はそこまでしないのですが、作り込みまでしてしまうと結構費用はかかります。
ただ単にID分けをするためだけのキーであれば(クラウドにアクセスするための権限っていうところを、キーに紐づけしてしまうような形だけであれば)、そこまでしないですよ。
衞藤 > USBがカギになっているんですね。
⑤労務管理(出退勤管理)と会社への入出管理
衞藤 > あとは労務管理(出退勤)とか、そういう商材があったりしますか?
安永 > 特別リモートワーク用というところではないのですが、会社(事務所)のセキュリティという面で、少ない人数で会社を運用するとなると、例えば朝9時から19時まで10時間の中で自由に出勤できるのであれば、どのタイミングでどの人が会社に来るのかという管理ですかね。
衞藤 > そうですね。今うちのオフィスは、そういった対策を積極的にはしていないので、極端な話、誰でも事務所に入って来られるわけですよね。リモートワークを始めたことにより、出勤者が少なくなってきているので、防犯対策もしていかないといけないですね。
安永 > となると、やはり防犯カメラですかね。システム側に事前に登録をしておけば、社長が自宅や出張先でも会社の様子を見ることができるので、万が一にも対応できる状況を作っておくとかですね。
極端な話、在宅ワークをする際に、仕事をするスペースをある程度定めておけば、自宅にも仕事用のカメラを設置することも可能ですよ。しかしその場合、プライバシーの問題も出てきますが(笑)。
スタッフの「監視」から、業務効率を高めるための「管理」へと考え方のシフトチェンジが必要
衞藤 > そんな感じですべてが管理される社会になったらちょっと怖いですよね(笑)。でも最近は営業車にGPS機能をつけている企業も多いですからね。
安永 > 営業車についているならまだいい方だと思いますが、会社で支給している携帯などにも最近はGPS機能がついているので、社員がどこにいるのか把握する管理のために使っているところも増えているんですよ。
衞藤 > そうなんですね。お話し聞いていても思うんですが、「働き方改革」って、結局は「管理する」ことと、「管理を手放す」ことの両極端に分かれてくるように感じます。
安永 > そうですね、やっぱりルールは「生産性アップのため」ということを念頭に置いておかないと、ただ「社員を管理する」だけになると、リモートワークなどせずに事務所で働いた方がいい、ということになりますよね(笑)。
主要の業務以外は外部との連携(外注)を活用するという選択も
辻 > 実はいま、「オンライン事務代行サービス ノンコア」という委託サービスも運営しているんですよ。ノンコアとは売上や利益に直結するコア営業に専念したい企業さまのために、経理・人事・庶務・Web運用などで発生するノンコア業務を代行するサービスです。
オンライン事務代行サービス”noncore”(ノンコア)で、できること
衞藤 > 以前から辻さんより「ノンコア」のサービスを紹介していただき、一度利用してみたいとは思っているのですが、何をどう発注しようかということを悩んでるんです。具体的にどのように頼めばいいんですか?
辻 > 私なんて弔電・祝電まで頼んでますよ(笑)
こうした外部委託を行ううえでの考え方、まぁ今回のテレワークもそうなんですが、例えば隣に作業する部屋があるじゃないですか。で、この会議室で仕事をする状況と、家で仕事すること、結局隣の作業部屋で作業を行うスタッフがノンコアになるだけなんですよ。
なので初めて会った方に「コレとコレとコレができれば、あなたに仕事を出せますよ」と。それが社員なのか、新たに面接する方なのかの違いであって、外注もその延長線上にあると考えてもらえれば良いかなと思います。
決算前に驚くほどの作業時間を先買いされているお客様もいらっしゃるんですよ。「どうせ、来月使うだろう」ということで。
衞藤 > なるほど。わかります。
辻 > 結局、時間の先買いをしているだけなんですよね。
衞藤 > これは、いつか使うだろう、と思って買う。それで、使ってみたら便利だから継続されるということですね。まさに体感を売ってる感じですね。
安永 > モノではなく時間を買うという、新しいやり方ですよね。それこそリモートワーカーに近いイメージですね。
請求業務
衞藤 > 例えば請求業務とか可能ですか?請求書のPDFファイルを送ったら封入れから発送まで全部してもらえるとか?
辻 > もちろん、そういうことも行っています。
衞藤 > そのときは、弊社の封筒をそちらに送ればいいんですか?
辻 > 封筒を作ることからできますよ。
衞藤 > そもそもそこから頼めるんですね。
ランディングページ制作
辻 > 先日は、アイダリンクさんの採用募集ページもお引き受けしました。
安永 > すごく早かったですよ。11月の頭に資料をお渡ししたら中旬くらいには立ち上がりましたから。
辻 > 弊社は「Indeed」の販売代理店も行っているので、Indeedからの受け皿として活用してもらっています。
Web代行
衞藤 > Web業界のノンコア業務も増えていくと思いますが、SNSも含めてサイトの更新作業とか、どれくらいかかるんですか。
辻 > 長さにもよりますが、1.5時間~2時間ですかね。
辻 > SNSの更新などは、企業さまにお話すると、「じゃあうちも頼みたいです」というところも多いです。
衞藤 > ただ代行となると、更新する内容は1次情報はないですよね。
辻 > そうですね、だからそこのやりとりをどうするのか、というところも課題ですよね。
文字起こし
衞藤 > 文字起こしとかもしてくれるんですか?
辻 > 自社でもやっていますよ、例えば会議の議事録とか。
衞藤 > 会議のテープ起こしは、うちでもお願いしたいですね。こうしたインタビューとかコンテンツを作るためには撮ってはいるんですけど、通常の会議を録音して文字起こしをするのって結構大変なんですよね。
辻 > 当社でも以前は、営業社員が当番制で責任者会議の文字起こしをやっていたんですけど、その間業務は止まってしまうじゃないですか。これってもったいないですよね。
衞藤 > 確かに議事録は文字にさえ起こしてくれれば、あとで検索できるので。テープでただ聞くというより効率的ですもんね。
CAD、Excel、その他
辻 > あとは、Excelの書類作成とか、数字入力とかですかね?
辻 > 実際のところ、まだ私たちもこうしたオンライン事務代行サービスの魅力を広く伝えきれてないんですよね。もっとアイディア次第で色んな活用方法があると思うんですが。
衞藤 > ほんとに細かなことも「外注でリモートワークで行うことが可能になる」ということですよね。あとは、自分がどこの部分がコアになってどこの部分がノンコアなのかというところの切り分けさえできていれば、働く時間(効率)ってまた変わってきますね。
辻 > みなさん会社内で、「本当はこんなことをやりたい」という目標がありますよね。でも何らかの原因で滞っているんです。そのときに何が障害になっているかというと、実は各々が持っている仕事だったりするんですよね。
となると、いま抱えている仕事を外注に出したら、空いたところに新たな仕事を入れることができ、結果的にそれが生産性アップにつながるんですよ。
衞藤 > 今の話を聞いてると、何か外に仕事を出していきたいなと思い始めました。
仕事を細分化して、自分たちが何をどのようなステップで行っているのかを、ひとつひとつしっかり再定義して、これは外注、これは自分でやらなくてはいけない、という棚卸しを今こそやるべきですね。そうすると、働き方自体かなり変わってくると思います。
辻さんがおっしゃったように、制作などの成果物があると時間で管理するというわかりやすさがありますが、デスクワークって、なかなか計れないじゃないですか。だからそのへんをもっと分解して、時間の割り振りができると、たぶんデスクワークはもっと短くできるんじゃないかな、とお話を聞きながら感じました。
辻 > 事務職の生産性って40%あれば優秀らしいですよ。
衞藤 > 6割は休んでるってことですか?
辻 > 多くは電話を取ったり、誰かと話したり、調整したりということで、時間のカウントには入らないじゃないですか。
衞藤 > 僕も日頃制作を行うわけではないので、こうやってお話しながら、頭のなかで考えることが仕事に通じるんだと思ってるんです。
そうすると、実際に実務としてアウトプットするって、時間にするとほんの少しだったりしますよね。そこだ切り取って計ると短いですが、それらすべてが仕事だという風に捉えれば、頭を使っている時間は常に仕事という風にしないといけないと思うんですね。
辻 > テレワークの話だと、デジタルに時間を計れないことって多いですよね。就業規則上では7時間勤務と言っても、現実には7時間「相当」の仕事をやってもらっている、ということで、それが6時間なのか、8時間なのか、ということよりも、やっぱり成果物に見合っているか、というジャッジしかできないですよね。
衞藤 > 例えば僕は出張の際、遠方に車を運転して行く場合もあるんですが、この移動時間もやっぱりノンコアの仕事時間なんですよね。
辻 > 私もできる限り、車を運転はしたくないですね。やっぱり運転するとPCやスマホを見ることができないですからね。
衞藤 > 辻さんは、電車が多いですよね。運転手をつける人なんかは、やっぱりそれ相応の効率を考えていますね。自家用ヘリや自家用ジェットなども、明らかに時間を買うという感じで、決して道楽ではないわけです。
辻 > そうですね。働くことにおいての「時間」の考え方(使い方)って今後ますます議論が活発化するんじゃないですか?
最後に
辻 > 個人的にテレワークに関しては、まずは、いったん±0くらいの生産性で、会社じゃなくてもできるという環境を整えた後に、次に2ステップ目で生産性を上げていくという形を目指すのがいいのではないでしょうか。これを際限なくずっと追いかけていくものなのかなと思います。
衞藤 > 確かにそうですね。
今回このような対談をさせていただいたことで、リモートワークについて僕らもいろいろ考えることや、チャレンジしてみたいことが出てきました。
アイダリンクさんは、これだけの商品を取り扱っていらっしゃるのですから、ビジネスにおいても今後ますます需要が高まるでしょうし、辻さんが取り組まれている、事務代行サービスは、まさにコア業務に集中して生産性を向上させるためのファーストステップですよね。
各社のサービスを活用することで、今後の社会でリモートワークを取り入れる可能性が、ますます広がっていくのではないかと思います。
本日は、ありがとうございました。
【リモートワーク支援・取材協力】
(株)セイシン総研
人事コンサルティング会社。助成金・補助金の受給支援・indeed活用採用支援や、事務代行サービス、社長・NO.2を対象に教育研修や人事評価制度の導入支援など行っています。
Webサイト:https://seisin-soken.com/
AIDA LINK株式会社
OA・通信機器の販売、レンタル、設置/配線工事、保守/サポートを行っている会社で課題を抱えるお客様の気持ちに寄り添い、多種多様な現場経験から類似した事例を紹介することで最適な解決策の実現支援を行っています。
Webサイト:https://aida-link.com/