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ホームページ制作

2026.2.26Web運用で「判断しなくていい状態」をつくる方法|成果を出す会社が先に設計している3ステップ

 

成果が出るWebとは、顧客が自己選別を済ませた状態で問い合わせてくるWebです。自己選別とは、顧客が自分に合うかどうかを自力で判断できる状態を指します。

 

ホームページを持っている企業は多くあります。総務省の令和6年通信利用動向調査では、企業のホームページ開設率は93.2%に達しています。ただし、この数字は常用雇用者100人以上の企業が対象です。アイ・モバイル株式会社が2023年に中小企業6,744社を対象に実施した調査では、回答者の約半数が従業員5名以下の企業であり、ホームページ開設率は48.5%にとどまっています。

 

ホームページがある企業でも、更新が年に数回以下という状態は珍しくありません。株式会社プラストの調査では、中小企業経営者の約半数が、更新されていないホームページに対して「営業しているか不安になる」と回答しています。

 

問題は、更新の頻度そのものではありません。ホームページが持つべき機能が、そもそも設計されていないことにあります。

 

多くの経営者が、Web運用という言葉を聞くと、ブログを書く、写真を差し替える、といった作業を思い浮かべます。しかし、成果を出している企業のWeb運用は、そうした更新作業とはまったく異なる地点から始まっています。

 

社長が何度も同じ説明をしなくて済む状態。営業マンがゼロから説得しなくて済む状態。見込み客が自分で納得した上で問い合わせてくる状態。その仕組みの起点にあるのが、Webというインフラの構造設計。

 

Web運用とは、考え続けることではありません。社長、社員、そして顧客が迷わなくて済む状態を、最初に作り上げることなのです。

なぜ、あなたの会社のホームページは「止まる」のか

 

経営者は日々、現場の指示、資金繰り、取引先との交渉に追われています。ホームページの更新まで頭が回らないのは、怠慢ではなく、構造の問題です。

 

多くの企業のWeb運用が止まる背景には、共通するパターンがあります。

 

最も多いのは、手段が目的になっている状態です。制作会社に「ブログを書きましょう」と言われ、最初の数ヶ月は社員が交代で記事を書きます。しかし、ネタが尽きます。書いてもアクセスが増えた実感がありません。結果、更新は自然消滅します。

 

次に多いのは、判断の集中です。何を載せるか、どう表現するかの意思決定がすべて社長、あるいは一人の担当者に委ねられています。判断するたびに脳のリソースが消費され、半年もすれば限界を迎えます。前述のプラスト社の調査でも、自社でホームページを更新しない理由として「担当者がいない」が30.5%、「やり方が分からない」が30.2%を占めています。

 

この2つのパターンに共通する構造は明確で、ホームページに何をさせるかのルールが決まっていないことです。

 

ブログを書くこと自体は目的ではありません。アクセスを集めること自体も目的ではありません。ホームページが果たすべき機能とは、社外の人間が御社について判断を下す際に必要な材料を、24時間・365日、社長の代わりに提示し続けることです。

 

この判断基準がなければ、どれだけ意気込んで更新を始めても止まります。更新が止まるのは、努力不足ではなく、設計の不在なのです。

 

 

「判断の外部化」とは何か

 

ここで提起したい概念があります。それは「判断の外部化」です。

 

判断の外部化とは、人間の頭の中にある基準、理由、強みを取り出し、Webという24時間稼働のシステムに固定することを指します。

 

経営者であれば、自社の強みを聞かれたとき、即座に言葉にできるはずです。「うちは○○が違う」「この条件の仕事は受けない」「この価格にはこういう背景がある」。しかし、その言葉はどこにあるでしょうか。社長の頭の中か、営業マンの経験値か、あるいは社内の空気の中か。

 

属人化されたその知識は、伝達されるたびにコストが発生します。新人営業マンには一から教えなければなりません。見込み客には毎回同じ説明を繰り返す必要があります。金融機関や採用候補者が御社を調べても、その判断基準にたどり着けません。

 

判断の外部化は、この構造を変えます。

 

言い換えれば、Web運用とは判断基準の固定化プロセスです。そして、成果が出るWebとは、自己選別が機能しているWebです。

 

具体的には、三つの方向で迷いを消します。

 

  1. 顧客の迷いを消す
    この会社に頼んで大丈夫か、高すぎないか、自分の要件に対応できるのか。問い合わせ前に抱えるこれらの不安に対して、あらかじめ回答をWebに固定します。顧客は自分で情報を読み、自分で納得し、その上で連絡してきます。

  2. 営業の迷いを消す
    この客にはどこから説明すべきか、前提知識はどこまであるか。Webで基礎教育が済んでいれば、営業は本題から入れます。ゼロから説得する必要がなくなります。

  3. 経営の迷いを消す
    今月はWebに何を載せようか、何を書けばアクセスが増えるか。設計図があれば、日常的に迷う必要がありません。現場で発生した事実を、設計図の該当箇所に当てはめるだけで済みます。

 

 

「判断の外部化」を実装する3つの具体策

 

概念で終わらせても意味がありません。ここからは、Webサイト上でどう実装するかを具体的に述べていきます。

 

判断の外部化は、次の3ステップで進めます。ステップ1は非ターゲットの明示、ステップ2は価格の背景の言語化、ステップ3はよくある失敗と対策の公開です。順に見ていきます。

 

1. 「非ターゲット」の明示

 

多くの企業のホームページには、何でもやります、幅広く対応しますと書かれています。しかし、何でもやる会社は誰にも選ばれません。

 

判断の外部化で最初に着手すべきは、自社に合わない案件や対応できない条件を明記することです。

 

たとえば建設業であれば、「短工期の急ぎ案件はお受けしていません」「坪単価○○万円以下のご依頼は施工品質を担保できないためお断りしています」と書きます。

 

これは顧客を減らす行為ではありません。自己選別を促す設計です。合わない案件の商談に1時間使うよりも、合致する見込み客の問い合わせに10分で対応するほうが、経営としては合理的です。

 

非ターゲットの明示は、営業のフィルタリングをWebが代行する仕組みでもあります。

 

2. 「価格の背景」の言語化

 

相見積もりの段階で、価格だけを比較される経験は多くの経営者にあるのではないでしょうか。しかし価格が高い理由、あるいは安い理由が説明されていなければ、比較軸は金額にしかなりません。

 

Webに掲載すべきは、価格そのものではなく、その価格になる根拠です。

 

使用している材料のグレード、施工にかかる工程数、アフターフォローの範囲。これらを構造的に開示すれば、見込み客は「高い」ではなく「この品質ならこの価格か」と判断できるようになります。

 

これは値下げ交渉を事前に封じる効果を持ちます。営業マンが対面で説明しなくても、Webが価値基準を伝えてくれるからです。

 

3. 「よくある失敗と対策」の公開

 

営業マンが現場で語る業界の落とし穴は、多くの場合、社内にとどまっています。こういう失敗をする人が多いんですよ、という話は、見込み客にとって最も価値のある情報の一つです。

 

リスクを先に語れる存在は、専門家として信頼されます。

 

具体的には、業者を選ぶときに見落としがちなポイント、契約前に確認しないと後悔する条件といった形式で、自社が蓄積してきた経験を公開します。

 

この情報は、読み手の判断基準そのものを書き換えます。価格以外の比較軸を読者に提供するため、安値業者との横並び比較から抜け出す効果があります。

 

 

事例検証:判断をWebに預けた企業に起きた変化

 

ここで、構造を設計したことで成果が出た事例を見ていきます。

 

株式会社ミカサ:営業不在でも成約が続く構造

 

株式会社ミカサは、独自技術によるバイオトイレ「バイオミカレット」を製造・販売しています。製品特性上、仕組み、臭いの有無、メンテナンス方法など、説明事項が多い商材です。従来は営業マンが個別に説明していましたが、これらの情報をすべてWebに移管しました。

 

結果として、顧客がWebで自己判断を完了した状態で問い合わせてくる構造が成立しました。営業体制に頼らず成果を出せるようになった背景には、製品への疑問や不安に対する回答が、すべてWeb上で完結していたことがあります。

 

これまで大分を中心に私たちが300社以上の支援現場で見てきた傾向として、判断情報を Webに移管した企業では、問い合わせ後の初回商談が平均30〜40分短縮される傾向があります。説明済みの前提から商談が始まるため、営業マンの稼働時間が圧縮され、対応できる案件数が増えるという構造です。

 

ニッチ市場では特に、見込み客が限られるため、1件の問い合わせの質が経営に直結します。事前に判断が済んでいる見込み客からの問い合わせは、商談期間が短く、成約率が高くなります。

 

株式会社カワノ:判断軸の固定が客層を変えた

 

株式会社カワノは、リフォーム事業を展開していましたが、Webサイトリニューアルの際に【耐震】という専門軸に判断基準を絞りました。

 

それまでは、安さを求める顧客からの相見積もり対応に時間を取られていました。しかし、Webで「家を守る」という価値を前面に出したことで、耐震に共感する顧客だけが集まる構造に変化しました。

 

価格で比較されにくくなった理由は、自社が何に強く、何を選ばないかをWebが明確に伝えていたからです。判断軸の固定が、客層そのものを変えました。

 

 

この方法が向かないケース

 

判断の外部化はすべての企業に万能ではありません。前提として認識すべき限界があります。

 

まず、社長自身が自社の強みや判断基準を言語化できていない段階では、Webへの移管は機能しません。判断軸が言語化できない企業では、Webは営業の代替になりません。固定する基準そのものが存在しないからです。この場合、先にやるべきことは、Webの設計ではなく、自社の営業プロセスと競合との差異を棚卸しすることです。

 

また、ターゲットが極端に広い事業や、受注案件ごとに要件がまったく異なる業態では、判断基準の固定が難しい場合があります。固定できる軸がなければ、Webに移管する情報も定まりません。

 

さらに、Webが唯一の接点ではない業種、たとえば紹介中心の事業では、Webに判断機能を持たせる優先度は相対的に下がります。

 

ただし、これらのケースでも、「Webがなくてよい」のではなく、「Webに移管する順序を変える必要がある」だけです。棚卸しが先か、移管が先か。その順番を間違えなければ、判断の外部化は有効に機能します。

 

 

「更新作業」から「判断資産の蓄積」へ

 

判断基準が設計されたWebサイトに、毎日の日記は不要です。

 

やるべきことは、現場で起きた事実を、設計図の該当箇所に当てはめていくことだけです。施工事例が一つ増えたら、事例ページに追加します。顧客から新しい質問を受けたら、FAQに反映します。価格改定があれば、その背景を追記します。

 

この作業は「更新」ではありません。判断資産の蓄積です。

 

ブログのように消費されるコンテンツではなく、載せるたびに判断機能が強化されます。半年前に書いた事例が、今日も見込み客の不安を消している。そういう構造ができれば、Webは広告媒体ではなく、会社の強みを証明し続ける経営インフラに変わります。

 

成果が出ている企業に共通しているのは、更新頻度の高さではなく、1ページあたりの判断密度の高さです。月に1本しか追加しなくても、その1本が見込み客の迷いを一つ消していれば、資産は確実に積み上がるのです。

 

そして、判断の外部化が進んだ先に起きるのは、判断の自動化です。Webが蓄積した判断基準をもとに、顧客の選別、営業の優先順位づけ、経営判断の支援までがシステムとして回り始めます。その起点は、今日書き出す1文から始まります。

 

 

まとめ

 

Web運用の目的は、更新し続けることではありません。社長の頭の中にある判断基準を取り出し、Webに固定し、社外の人間が自力で判断を進められる状態を設計することです。

 

構造が先にあれば、更新は作業ではなく蓄積になります。属人的な営業トークは、資産として残り続ける情報に変わります。

 

社長が口頭で何度も繰り返しているその説明を、Webに固定する。それだけで、問い合わせの質が変わり、営業の負担が減り、経営者が本来集中すべき仕事に時間を使えるようになります。

 

御社の営業プロセスの中で、どの部分をWebに肩代わりさせられるか。その棚卸しから始めてみてください。

 

まず今日できることがあります。手順は3つだけです。1つ目は、直近の商談メモを開くこと。2つ目は、その中から3回以上繰り返し説明した内容を探すこと。3つ目は、それを1文で書き出すこと。その1文が、Webに移管すべき最初の判断材料です。

 

判断を外部化する設計は、社内だけでは見えにくいこともあります。

 

自分だけで整理するのが難しければ、外部の視点を使うという選択もありますので、その際は無料相談をご活用ください。

 

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よくある質問

 

Q. ホームページを作り直さないと「判断の外部化」はできませんか?

 

必ずしもリニューアルが必要なわけではありません。既存のホームページに、非ターゲットの明示や価格の背景といった判断情報を追加するだけでも機能します。構造設計とは、サイト全体を作り替えることではなく、載せるべき情報の優先順位を整理し直すことです。現在のサイトの中で、判断材料として機能していないページを特定し、そこに情報を足す。その作業だけで効果が出る場合は多くあります。

 

Q. 社長の暗黙知を整理するには何から始めればいいですか?

 

最も実践的な方法は、直近3ヶ月で問い合わせ対応中に繰り返し説明した内容を書き出すことです。「うちは○○が違う」「この条件は受けられない」「この価格には理由がある」。この3つの切り口だけで、移管すべき判断材料の大半が出てきます。営業マンがいる会社であれば、営業日報や商談メモから抽出するのも有効です。

 

Q. 情報を出しすぎると競合に真似されませんか?

 

競合に見える情報と、見込み客の判断に必要な情報は異なります。判断の外部化で公開するのは、自社の施工方法の詳細や独自ノウハウではなく、顧客が比較・選定する際の判断軸です。判断軸の公開は、自社のポジショニングを明確にする行為であり、仮に競合が同じ軸を掲げたとしても、その裏付けとなる事例や実績は簡単には複製できません。

 

Q. 「判断の外部化」は結局、コンテンツマーケティングと何が違うのですか?

 

コンテンツマーケティングは、情報を発信して関心を集め、見込み客との接点を作る手法を指すことが多い考え方です。対して判断の外部化は、すでに関心を持っている相手の迷いを消し、意思決定を完了させる構造設計です。入り口を広げるか、出口の精度を高めるか。フェーズが異なります。両者は排他ではありませんが、多くの中小企業では、入り口を広げる前に出口が整っていないことが成果につながらない原因になっています。

 

Q. この考え方で成果が出るまでにどのくらいかかりますか?

 

判断基準の整理と掲載自体は、早ければ1〜2ヶ月で完了します。ただし、問い合わせの質が変化し始めるまでには3〜6ヶ月の期間を見る必要があります。検索経由で新規の見込み客がたどり着くまでの時間と、掲載した判断材料が商談で機能しているかを検証する時間が必要だからです。既存顧客や紹介経由の見込み客に対しては、掲載直後から効果が出やすくなります。「一度ホームページを見てから来てください」と言えるようになるだけで、初回商談の密度が変わります。

 

 

参照・出典

 

 

 

この記事を書いた人

 

嶺 利久

アール株式会社 執行役員/Webコンサルタント

300社以上の中小企業のWeb戦略支援に従事。 Webを「経営インフラ」として設計することを専門とする。

 

 

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