アール株式会社 アール株式会社25周年

経営課題

2026.2.11更新していないのに成果が出ていた会社は、何に支えられていたのか

 

成果の正体はWebではなく信用資産。その移設先を見誤ると、紹介すら届かなくなります。

 

「うちはホームページなんて触ってないけど、仕事には困らないよ」

 

この言葉が事実だった時代は、確かにありました。そしてその時代は、すでに終わりつつあります。

 

取引先との会食で、笑いながらそう言う社長は珍しくありませんでした。建設業、製造業、士業。とくに大分や九州の地場企業では、この言葉は強がりでも冗談でもなく、紛れもない事実でした。

 

ホームページは5年前に作ったきり。新着情報の最終更新日は2021年4月で止まっている。それでも毎月の売上は安定し、紹介で新規案件も入ってくる。Web制作会社が更新を勧めに来ても、正直なところ、必要性を感じなかったはずです。

 

しかし2026年の今、その安定が静かに揺らぎ始めています。紹介の数は変わらないのに、紹介からの受注率が下がっている。初回の商談で「もう他社に決めました」と言われることが増えた。原因がWebにあるとは、まだ気づいていない経営者が少なくありません。

更新ゼロでも成果が出ていた会社には、3つの見えない支えがあった

 

ホームページを放置しても仕事が回っていたのは、Webの力ではなく、リアルに築かれた3つの信頼資産があったからです。

 

1つ目は、社長や営業担当の対面力です。会ってしまえば人柄と実績で受注できる。提案書がなくても、口頭で語る施工事例や解決エピソードが、そのまま最強の営業ツールになっていました。

 

2つ目は、紹介ネットワークの厚みです。「あそこに頼んでおけば間違いない」という口コミが、地域の中で自然に広がっていました。紹介する側も、される側も、わざわざホームページを確認する必要がなかった。名前と評判だけで商談が始まる世界です。

 

3つ目は、競合もWebに力を入れていなかったという時代背景です。周囲の同業者も同じようにホームページを放置していたため、相対的に不利になることがなかった。横並びの状態では、Webの優劣は経営に影響しません。

 

つまり、成果の正体はWebの力ではなく、人の力と時代の力でした。ホームページはあくまで名刺代わりの存在確認装置であり、集客や信頼構築の役割はまったく期待されていなかったのです。

 

支え過去の役割今の変化経営への影響
対面力(社長・営業)会えば受注できた会う前にWebで足切りされる商談機会そのものが減少
紹介ネットワーク名前と評判だけで商談成立紹介先がWebを見て候補を絞る紹介の数は変わらず受注率だけ低下
時代背景(横並び)競合もWeb未整備で差がつかなかった一部の競合がWebを整備し始めた何もしないことが相対的な後退に変わった

 

※この3つの支えが同時に弱体化している点が、現在の本質的なリスクです。

 

 

なぜ今、その支えが静かに崩れ始めているのか

 

顧客の購買行動が「会ってから検索」から「検索してから会う」へ逆転したからです。

 

ここ数年で起きた変化は、劇的に見えないからこそ深刻です。原因は更新をしなかったことではありません。顧客側の行動パターンが、根本から変わったことにあります。

 

かつての取引先選びは、紹介される、会ってみる、良さそうなら発注するという流れでした。ホームページは商談の後に念のため見る答え合わせの位置づけです。ところが今、この順序が逆転しています。紹介される、まずホームページを見る、会うかどうかを決める。Webが、面談の前に立ちはだかる足切りの関門になりました。

 

B2Bマーケティング社とITコミュニケーションズ社の共同調査(2025年)では、企業が製品やサービスの比較段階で候補を3社以内に絞り込む割合が81.4%に達しています。2022年時点の68.1%から大幅に上昇しており、会う前の選別がますます厳しくなっていることがわかります。

 

この変化を加速させているのが、意思決定者の世代交代です。発注を判断する担当者が30代、40代になり、まず電話で聞くより、まず検索して比較する行動が当たり前になりました。トゥモローマーケティング社の2024年調査によれば、企業がサービスを導入する前の検討段階で候補を見つける経路の67.3%がオンラインです。比較サイトや提供企業のWebサイトが突出して高い割合を示しています。

 

経営者の耳には届かない「無言の拒絶(サイレント・リジェクション)」

 

もっとも恐ろしいのは、断りの連絡すら来ない「無言の拒絶(サイレント・リジェクション)」です。 紹介を受けた担当者がホームページを見て、情報が古い、デザインが年代を感じる、実績がわからないと判断した瞬間、候補リストから静かに外される。断りの連絡すら来ません。紹介からの受注率が落ちたと感じている社長がいたら、その原因は紹介元の問題ではなく、紹介先の担当者がWebで足切りをしている可能性を疑ってみてください。

 

株式会社プラストの調査では、更新されていないホームページに対して営業しているか不安になる回答した中小企業経営者が49.8%、取引や付き合いをしようと思わないが32.6%にのぼります。これは経営者自身が回答した数字です。自分が相手のホームページを見たときには気になるのに、自社のホームページについては大丈夫だろうと思い込んでいる。この認知のずれが、サイレント・リジェクションを招いています。

 

 

とりあえずブログを書こうでは構造は変わらない

 

更新の量を増やしても、顧客が求める判断材料が載っていなければ状況は変わりません。

 

ここまで読んでやはりWebを何とかしなければと感じた方がいるかもしれません。しかし、焦って社長のランチ日記やスタッフの挨拶を投稿しても、状況は改善しません。

 

顧客が見ているのは更新日時ではなく判断材料です。

 

  • この会社はどんな課題を解決できるのか
  • 過去にどんな仕事をしてきたのか
  • 価格の考え方に納得感はあるか
  • 問い合わせた後、どんなプロセスで進むのか

 

これらの情報がWebに載っていなければ、どれだけ更新頻度を上げても意味がありません。

 

必要なのは更新ではなく移設です。これまで営業担当が口頭で説明していた信頼の根拠、つまり施工事例、解決プロセス、価格の考え方、お客様の声。これらをWebに載せ替える作業です。人が支えていた売上構造を、Webという仕組みが支える構造へ。インフラの入れ替えと言ってもいいかもしれません。

 

営業担当が毎回同じ説明を繰り返している時間は、本来もっと高度な提案や関係構築に使えるはずです。その説明をWebが24時間肩代わりすることで、人は判断と信頼構築に集中できるようになります。

 

「構造転換」が向かないケースもある

 

これらはすべての企業に必須ではありません。投資対効果が見合わないなら、見送るのが正しい経営判断です。

 

たとえば、取引先が5社以下で完全に固定されている場合。あるいは後継者がおらず、あと数年で事業を畳む計画がある場合。こうしたケースでは、Webへの投資対効果が見合わない可能性があります。

 

また、Webを整えたからといって、翌月から問い合わせが殺到するわけでもありません。成果が目に見え始めるまでには半年から1年の継続が前提になります。だからこそ、経営判断として今やるか、やらないかを決める意味があります。判断を先送りにすればするほど、サイレント・リジェクションによる機会損失は静かに積み上がっていきます。

 

 

Webを第2の支柱に変えた企業の判断

 

もともと持っていた強みをWebに翻訳しただけで、紹介依存の構造から抜け出した企業があります。

 

株式会社ミカサ様は、会わないと伝わらないと思い込んでいたニッチな技術力をWeb上で可視化しました。技術の特長、対応可能な素材、過去の納品実績。営業担当が商談で語っていた内容をそのままWebに構造化したことで、問い合わせの段階から具体的な技術相談が届くようになっています。営業が説明に費やしていた時間が、提案と見積もりに集中できる時間に変わりました。

 

株式会社カワノ様は、耐震という専門領域に絞り込んだ情報発信を行いました。地震への不安から検索する顧客の行動に応える形で、施工事例や工法の特徴をWebに体系的に掲載。耐震のことならカワノさんという指名での問い合わせが増え、価格競争ではなく専門性で選ばれるブランドを確立しています。

 

2社に共通しているのは、新しいことを始めたのではなく、もともと持っていた強みをWebに翻訳したという点です。

 

 

最後に:Webは面倒な作業ではなく、経営の防波堤になる

 

更新しないことの意味が、現状維持から信頼の損失へと変わっています。

 

かつて、ホームページを更新しないことは現状維持でした。周囲も同じ状態だったからです。しかし今、更新しないことは信頼の毀損に変わっています。競合の一部がWebを整え始めたことで、相対的な差が開いているためです。

 

とはいえ、やるべきことは毎日のブログ更新ではありません。自社の強みを、初めてホームページを訪れた人にも伝わる形で整理すること。紹介を受けた相手がここに頼んでよさそうだと判断できる材料を、Webに置いておくこと。これだけで、サイレント・リジェクションの発生率は確実に下がります。

 

今まで大丈夫だったからは、これからの安全を保証しません。支えてくれていた人脈、営業力、時代の条件。その前提が変わったことに気づいた企業から、静かに動き始めています。

 

あわせて読みたい:
更新しないと成果が出ないは本当か?ホームページ更新の前に考えるべき「判断が前に進む構造」

 

 

よくある質問と回答

 

ホームページの更新頻度はどのくらいが適切ですか?

 

頻度よりも何を載せるかが重要です。月1回のブログ更新より、施工事例を3件追加するほうが成果につながる場合があります。まずは自社の強みや実績を整理し、足りない情報を補うことから始めてみてください。業種や目的によって適切な更新内容は変わるため、一律の正解はありません。

 

紹介だけで仕事が回っているうちは、Webに手を付けなくてもいいのでは?

 

紹介で回っている今だからこそ、Webを整える余裕があるとも言えます。紹介が減ってから慌てて着手すると、成果が出るまでの半年から1年が、売上減少と重なります。経営に余裕があるうちに基盤を作っておくほうが、リスクは小さくなります。

 

Webに載せるべき情報は何から手をつければいいですか?

 

営業担当が初回の商談で必ず説明している内容が最優先です。事業内容、対応範囲、実績、価格の考え方、問い合わせ後の流れ。この5つが揃っているだけで、初めてサイトを訪れた人の離脱率は大きく変わります。

 

費用をかけずにWebを改善する方法はありますか?

 

まず自社のホームページを、初めて見る人の視点で確認してみてください。会社概要は最新の情報になっているか、電話番号やメールアドレスは正しいか、最終更新日はいつか。こうした基本の確認と修正は、費用をかけなくても今日からできます。そのうえで、本格的な構造改善が必要かどうかを判断しても遅くはありません。

 

地方の中小企業にもWebからの集客は現実的ですか?

 

地方だからこそWebの効果が出やすい側面があります。競合がWebに力を入れていない地域では、正しい情報を整理して掲載するだけで検索上位に表示されるケースが珍しくありません。商圏が限定される業種では、地域名と業種の組み合わせで検索する見込み客に対して、的確に情報を届けることができます。

 


 

あなたの会社のリアルの強みをWebに翻訳すれば、まだ間に合います。どこから手をつけるべきか、今の状態を一緒に整理するところから始めてみませんか。

 

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参照・出典一覧

 

 

 

この記事を書いた人

 

嶺 利久

Webコンサルタント(グロースパートナー)

Webマーケティング歴15年。中小企業を中心に300社以上のWebサイト制作・マーケティング支援に従事。ローカル企業をGROWTHするをモットーに、地域企業の検索戦略とコンテンツ設計を得意とする。自身のブログ運営で培った実践知と、多くの顧客サイトを検索上位に導いた実績をもとに、Webを起点とした戦略支援とブランディングを通じて、顧客のビジネス成長に貢献している。

 

 

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