
ホームページは集客ではなく、判断の基盤です。
「ホームページ? うちは集客目的じゃないから、正直なくてもいいと思ってるんだよね」
300社以上のWebサイト制作・マーケティング支援を手がけてきた中で、こうした言葉を何度も耳にしてきました。特に建設業、製造業、福祉サービス業といった地方の中小企業の経営者からは、この言葉がよく出てきます。
たしかに、BtoCのECサイトや飲食店のように「ホームページから直接集客する」というビジネスモデルでなければ、その感覚は自然なものかもしれません。
しかし、現場を見てきた私たちの結論として、はっきり申し上げます。
ホームページとは、経営・営業・採用をつなぐ唯一の「公式接点」です。
集客目的かどうかに関わらず、ホームページを持たない、あるいは更新が止まっている状態は、経営において見えない損失を生み続けています。この記事では、その理由を具体的に解説していきます。
目次
なぜ、あなたの会社は検索されているのか?
「うちは紹介中心だから、ホームページなんて誰も見てないでしょ」
そうおっしゃる経営者の方も多いのですが、実は「見られている」のです。しかも、かなり重要な場面で。
営業の答え合わせ:商談前にすでに「判断」は始まっている
BtoBの商談を思い出してください。営業担当者が訪問し、名刺を交換し、提案を行う。その場では「いい話ですね、検討します」と言われて帰ってくる。
しかし、驚くべきデータがあります。
株式会社wibの2024年調査によれば、BtoB商品を購入した決裁者の84%が「営業担当者と接触する前」に、購買を決定づける情報に触れているのです。さらに、67%が営業担当者との商談以外の経路(WEB広告、ホームページ、オウンドメディアなど)から購入の意思決定をしたと回答しています。

つまり、営業が商談に行く前に、すでに「この会社に頼むかどうか」の判断は大部分が終わっているのです。
そのとき、判断材料として見られているのがホームページです。商談の「補足資料」ではなく、むしろ商談前の「予備審査」として機能している。この認識を持つと、ホームページの重要性が変わって見えてきます。
採用のフィルター:求職者(とその親)が見る「安心の根拠」
採用においては、さらに顕著です。
株式会社アクシスの2025年調査によれば、62.80%の就活生が採用サイトを志望企業研究に有益な情報源として活用しており、採用サイトがない・またはデザイン・情報が古い場合、88%の就活生の志望度が低下すると回答しています。
地方の中小企業の採用では、求職者本人だけでなく、その親御さんがホームページを確認するケースも少なくありません。「この会社、大丈夫なの?」という問いに対して、ホームページは「安心の根拠」を提供する役割を担っています。
もちろん、最初から完璧なホームページを用意する必要はありません。ただ、「情報がない」「更新が止まっている」という状態は、不安を与える材料になってしまいます。
金融・取引先の与信:決算書には載らない「現在の活動証明」
また、与信調査という観点も見逃せません。
新規取引を開始する際、相手企業は必ずあなたの会社を調べます。商業登記簿や決算書といった公的資料に加えて、与信管理の専門家によれば、ホームページの記載事項を確認するのは「基本動作」とされています。
決算書は過去の数字です。一方、ホームページは「今、この会社が何をしているか」を示す証拠になります。最新の施工事例、導入実績、お知らせ欄の更新日。これらが「現在も活動している証拠」として機能するのです。
銀行融資の場面でも同様です。担当者はあなたの会社のホームページを見ています。「最終更新 2021年」と書かれたサイトを見て、「この会社は大丈夫かな」と思われるリスクを考えたことはあるでしょうか。
Webは「攻めの集客」ではなく「守りの基盤」である
ホームページを見ているのは、あなたが「集客したい」と思っている相手ではありません。すでに何らかの接点があり、あなたの会社を「確認したい」と思っている人たちです。
営業先の担当者、採用に応募しようか迷っている求職者、取引を検討している企業の与信担当、融資を審査する銀行員…etc…。
彼らは、ホームページを見て「判断」しています。
集客ツールではなく、判断材料としてのホームページ。この視点を持つと、「なぜ更新しなければならないのか」が見えてきます。
「SNSだけで十分」では、なぜ判断は完了しないのか?
「最近はSNSもあるし、ホームページはなくてもいいのでは?」
そう考える経営者の方も少なくありません。確かに、SNSは会社の雰囲気や日常を伝えるには有効な手段です。
しかし、SNSだけでは“判断”は完了しません。
理由はシンプルです。SNSは「流れる情報」であり、ホームページは「置いておく情報」だからです。営業先の決裁者や上司、採用応募者の親、取引先の与信担当が知りたいのは、
- 会社の正式な事業内容
- 実績や沿革
- 代表者や組織体制
- 現在も事業を継続している証拠
こうした公式性・網羅性・再確認できる情報です。これらは、投稿が時系列で流れていくSNSでは確認しづらく、最終判断の材料にはなりにくいのが実情です。
SNSで興味を持った人が、最終的に開く場所。それがホームページです。
SNSは「入口」、ホームページは「判断を完了させる場所」。この役割分担を理解しないままSNSだけに依存すると、知らないうちに判断の場を失ってしまいます。
▼「SNSで十分」は中小企業の落とし穴?集客につなげるホームページの5つの力
https://www.r-co.jp/web-site/18791/
「止まっているホームページ」が垂れ流している見えない損失
ホームページを持っていても、更新が止まっていれば、むしろマイナスに働くことがあります。
「最終更新 2021年」が発する強烈なネガティブメッセージ
お知らせ欄に「2021年 年末年始のお知らせ」が残っているホームページを、あなたはどう感じるでしょうか?
「この会社、まだ営業してるのかな」
「事業がうまくいってないのかな」
「人手が足りていないのかな」
止まったホームページは、「営業していない店舗」と同じ印象を与えます。シャッターが閉まった店の前を通りかかって、「ここ、いい店だったのにな」と思った経験はありませんか?ホームページも同じです。
ベイジの調査では、「情報が少ない」採用サイトに悪印象を持つ転職者が49.47%、「具体的なことがあまり書かれていない」を43.17%が悪印象と回答しています。
情報がないこと自体が、ネガティブなメッセージになっているのです。
情報がない=能力がない、と誤解されるメカニズム
「うちの強みは、技術力なんだよ。でも、それをWebで伝えるのは難しくて」
現場の技術力、長年培ったノウハウ、顧客との信頼関係。これらは確かに、文字や写真だけでは伝えにくいものです。
しかし、外部の人間にとっては、「ホームページに書いてあること」が「その会社ができること」のすべてです。
書いていないことは、「できない」と解釈されます。
実際には素晴らしい技術力を持っていても、それがホームページに載っていなければ、存在しないのと同じです。もったいない話ですが、これが現実です。
社長の頭の中にある「強み」が、Webに載っていないもったいなさ
また、これまで300社以上を支援してきた私たちがいつも感じることがあります。
経営者の頭の中には驚くほど豊かな「強み」が眠っています。創業の経緯、技術へのこだわり、顧客との印象的なエピソード、業界の中での立ち位置。
しかし、それがホームページに反映されていないケースがほとんどです。
「いやぁ、そんなこと書いても仕方ないでしょ」
「当たり前のことだから、わざわざ言わなくても」
経営者にとっては「当たり前」でも、外部の人にとっては「知らないこと」です。そして、知らないことは判断材料になりません。
社長の頭の中にある強みを、誰でも見られる形で「置いておく」。それがホームページの役割です。
現場の写真は、どんな美辞麗句よりも雄弁な「判断材料」になる
「うちの強みは、人です」
よく聞く言葉ですが、これをホームページで証明するにはどうすればいいでしょうか。
答えはシンプルです。人の写真を載せることです。
現場で働く職人の姿、打ち合わせをしている社員の表情、完成した建物の前で笑っているチーム。これらの写真は、どんな美辞麗句よりも雄弁に「この会社の雰囲気」を伝えます。
写真を撮る習慣がない、という会社も多いかもしれません。しかし、今はスマートフォンでも十分な品質の写真が撮れます。特別な機材は必要ありません。
日々の仕事の中で、少しだけ「記録する」という意識を持つ。それだけで、ホームページに載せられる素材が増えていきます。
「担当者を一人雇う」は、なぜ失敗するのか?
ホームページの重要性を理解した経営者の中には、「じゃあ、Web担当者を一人雇おう」と考える方もいます。
しかし、これがうまくいかないケースを、何度も見てきました。
中小企業における「Web担当者」の孤独と離職リスク
中小企業でWeb担当者を雇うと、多くの場合、その人は「一人部署」になります。
相談相手がいない、スキルアップの機会がない、成果が見えにくい、評価されにくい。こうした環境では、モチベーションを維持するのが難しくなります。
結果として、数年で離職してしまうケースが少なくありません。そして、その人が辞めると、ホームページの更新は再び止まります。引き継ぎもうまくいかず、「前の人しかわからない」状態になることもあります。
Web担当者の悩みや課題って意外と多いんですよ。
▼中小企業の Web担当者が抱える8つの課題とその解決策
https://www.r-co.jp/for-web-staff/
必要なのは「作業者」ではなく「経営判断の翻訳者」
そもそも、ホームページの更新に必要なのは、単純な作業ではありません。
「何を載せるべきか」
「どう表現するか」
「何を優先するか」
これらは経営判断に近い意思決定です。
経営者の想いや会社の強みを理解し、それを外部に伝わる形に翻訳する。この役割を、新卒や未経験のWeb担当者に任せるのは、かなり難しいことです。
「育てる4.5」という考え方:判断材料を、自然に積み上げる仕組み
ここで一つの考え方を提案します。
「毎回考えなくていい」状態をつくること。これが、ホームページ運用の理想形です。
多くの中小企業では、ホームページが止まってしまう原因があります。それは技術の問題ではなく、「何を載せるか」「いつ更新するか」という判断が、毎回経営者や担当者に集中してしまう構造です。
私たちアールが提供しているStandardプラン(育てる4.5)は、この判断負荷を構造的に解消するための仕組みです。
具体的には、まず最初に「初回戦略ワークショップ」を実施します。御社の事業目標を基に、ホームページのゴールとターゲットを設定し、ブレない軸を一緒につくります。これにより「次に何を発信すべきか」が明確になります。
そのうえで、4ヶ月に1本、専門性の高い「資産コンテンツ」を私たちが制作します。SEOやAIOを意識した構造設計により、検索からの信頼獲得にも寄与します。
加えて、CS担当が定期的に訪問し、AIによる改善提案や月次レポートを基に次のアクションを一緒に考えます。
ホームページを「育つ判断装置」に変える
この仕組みのポイントは、御社が「考えなくていい」状態を維持しながら、ホームページが自然に判断材料を蓄積していく点にあります。
経営者は本業に集中できる。それでいて、採用・営業・与信のあらゆる場面で、ホームページが「判断材料」として働き続ける。
一人のWeb担当者を雇って育てるには、採用費、人件費、教育コスト、そして経営者自身の時間がかかります。それでも数年で辞められてしまうリスクがあります。
一方、専門チームとのパートナーシップなら、複数人の知見を活用でき、担当者の離職リスクもありません。経営者の思いや現場の声を伝え、それを専門家がWebに落とし込む。この役割分担が、中小企業のWeb運用を持続可能にします。
コスト比較:採用費・人件費 vs 専門チームへの委託
具体的な数字で考えてみましょう。
Web担当者を一人雇う場合、年間の人件費は300〜400万円程度。これに採用費、教育費、福利厚生費を加えると、実質的なコストはさらに膨らみます。
一方、外部の専門チームへの委託は、内容にもよりますが月額10〜30万円程度から始められます。年間で120〜360万円。
単純なコスト比較だけでなく、「一人を育てる時間」と「専門家の知見を即座に活用できること」の価値も考慮すると、外部委託の合理性が見えてきます。
事例に学ぶ:判断材料を「置いた」ことで何が変わったか
ここからは、実際の事例を通じて、ホームページが「判断材料」として機能するとどうなるかを見ていきましょう。
事例1:採用ミスマッチが減った建設会社
ある建設会社では、採用面接に来る人の「辞退率」と「入社後の早期離職」に悩んでいました。
原因を探ると、求職者が「どんな仕事をするのかわからないまま応募している」ことがわかりました。会社の雰囲気、実際の現場、先輩社員の声、これらの情報がなかったのです。
そこで、ホームページに現場の写真を増やし、社員インタビューを追加しました。特に「入社前に不安だったこと」「入社後にどう感じているか」という具体的な声を載せたところ、応募者の質が変わりました。
「ホームページを見て、この会社で働くイメージが湧きました」
面接でこう言ってくれる人が増え、入社後のミスマッチも減少しました。
事例2:新規取引先への「無言のプレゼン」になった製造業
ある製造業の会社は、技術力には自信がありながら、新規開拓に苦戦していました。
営業が訪問しても、「御社の実績を見せてもらえますか」と言われると、紙のカタログを見せるしかない。相手の担当者が社内で説明するときに、参照できる資料がない。
そこで、ホームページに導入実績のページを作り、どんな課題をどう解決したかを具体的に記載しました。写真や数値も可能な範囲で公開しました。
すると、商談の流れが変わりました。
「ホームページ、見ましたよ。あの事例、うちと似てますね」
相手がすでに情報を持った状態で商談が始まるようになったのです。
経営者が「もう考えなくていい」状態をつくるために
ここまで読んで、「ホームページの重要性はわかった。でも、具体的に何から始めればいいのか」と思われた方もいるかもしれません。
まずは「外部からどう見えているか」を知ることから
最初のステップとしては、現状を把握することです。
今のホームページは、外部からどう見えているのか。求職者、取引先、金融機関、それぞれの視点で見たときにどんな印象を与えているのか。
自社だけで判断するのは難しいかもしれません。第三者の視点を借りることで、見えていなかった課題が浮かび上がることがあります。
社内のリソースを使わず、プロに「編集」を任せる選択
経営者の時間は限られています。社員のリソースも限られています。
その中で、ホームページの更新を「社内でなんとかする」という発想は、かえって負担を増やすことになりかねません。
経営者や現場の声を「編集」してWebに落とし込む。この作業は、専門家に任せた方が効率的です。
社長が1時間話したことを、30分で読める記事にまとめる。現場の写真を整理して、見やすいギャラリーにする。こうした作業は、プロに任せることで、経営者は本業に集中できます。
アールの役割は制作会社ではなく、御社の「広報・判断部」
私たちアールは、単なるホームページ制作会社ではありません。
御社の「広報部」として、あるいは「判断材料を整理する部署」として、経営と採用とWebをつなぐ役割を担います。
これまでの支援実績から得た知見を活かし、御社に合った情報発信の形を一緒に考えます。
まとめ:判断材料を「置いておく」ことから始める
この記事では、ホームページの役割を「集客ツール」から「判断材料の基盤」へと再定義してきました。
ポイントを整理します。
- ホームページは、営業・採用・与信の場面で「裏付け確認」に使われている
- 更新が止まっているホームページは、ネガティブなメッセージを発している
- 経営者の頭の中にある強みを、外部が見える形で「置いておく」ことが重要
- Web担当者を一人雇うより、外部の専門チームに任せる方が合理的なケースが多い
- 現場の写真や社員の声といった「具体的な情報」が、判断材料として機能する
明日からできる一歩があります。まずは、自社のホームページを、求職者や取引先の目線で見直してみてください。
「最終更新日はいつか」
「強みが伝わっているか」
「具体的な情報があるか」
この3点をチェックするだけでも、課題が見えてくるはずです。
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「うちのホームページ、大丈夫かな?」
そう思ったら、まずは現状の「健康診断」から始めてみませんか。御社のホームページが、外部からどう見えているかを私たちと一緒に確認するところからスタートしましょう。
より本格的なパートナーシップをご検討の方は、月額プランのご案内もご確認ください。
よくある質問と回答
Q. ホームページの更新頻度はどのくらいが適切ですか?
A. 業種や目的にもよりますが、最低でも月に1回は何らかの更新があることが望ましいです。お知らせ欄の日付が半年以上前だと、「活動していない」という印象を与えるリスクがあります。ただし、無理に更新頻度を上げるよりも、質の高い情報を定期的に出す方が効果的です。
Q. ホームページ制作を外注する場合の費用相場は?
A. シンプルなコーポレートサイトで30〜100万円、採用サイトを含めた充実した構成で100〜300万円程度が相場です。月額の運用費用は5〜20万円程度。自社で担当者を雇うコストと比較して検討することをお勧めします。
Q. ホームページとSNSはどちらが重要ですか?
A. 目的が異なります。SNSは「流れる情報」、ホームページは「置いておく情報」です。SNSで興味を持った人が、詳しく調べるためにホームページを見る——という流れが一般的です。どちらか一方ではなく、役割分担を考えることが重要です。https://www.r-co.jp/web-site/18791/
Q. 紹介100%でも、本当にホームページは必要ですか?
A. はい、必要です。紹介は「会うきっかけ」にすぎません。商談前後には、決裁者・上司・与信担当が必ず会社を確認します。その判断材料になるのがホームページです。情報がなく、更新が止まっている状態は、判断を止める原因になります。
Q. ホームページのリニューアルは何年ごとにすべきですか?
A. デザインのトレンドやスマートフォン対応の観点から、5〜7年に一度は大幅なリニューアルを検討することをお勧めします。ただし、それよりも重要なのは、日常的なコンテンツの更新と、情報の鮮度を保つことです。
出典・引用元
本記事で引用した調査・データは以下の通りです。
- 株式会社wib BtoBの購買プロセスにおける独自調査レポート(2024年)
- 【2025年最新】採用サイトの重要性と学生のリアルな利用実態を徹底解説。(2025年)
- 株式会社ベイジ 中途採用における採用サイト利用実態調査2024年度版(2024年)
- トーショー 取引先の経営状況を把握する企業信用調査とは(2024年)
この記事を書いた人
嶺 利久
Webコンサルタント(グロースパートナー)
Webマーケティング歴15年。中小企業を中心に300社以上のWebサイト制作・マーケティング支援に従事している。「ローカル企業をGROWTHする」をモットーに、地域企業のSEOやコンテンツマーケティング戦略を得意としている。自身のブログ運営でSEOを学び、多くの顧客サイトを検索上位に導いた実績を持つ。Webを起点とした戦略支援とブランディングを通じ、顧客のビジネス成長に貢献している。



