
「高い金を払って業者に作らせたのに、問い合わせなんて一度も来ないぞ」
経営者の方から、このような切実なご相談を受けることがよくあります。数百万円を投資して完成したWebサイト。デザインも綺麗で、社長の挨拶もしっかり掲載した。それなのに、公開から半年も経つと社内の誰も見なくなり、当然のように顧客からの反応もない……。
最初に押さえておきたいのは、この現象は御社の製品力や技術力が不足しているから起きるのではない、という点です。原因はもっと手前の、Webサイトに対する「根本的な誤解」にあるといえます。
多くの経営者は、Webサイトを『自動販売機』のように捉えている節があります。一度設置して電源を入れれば、あとは勝手にチャリンチャリンと売上を生み出してくれる機械だと。しかし、残念ながらWebの現実はそうではありません。
Webサイトの本質は、どちらかといえば『観葉植物』に近いものです。
どれだけ高価な鉢植えを買ってきても、水をやらなければ(更新しなければ)、植物は静かに枯れていきます。枯れた植物をオフィスに置いておくことは、単に意味がないだけでなく、「手入れが行き届いていない」というネガティブな看板を掲げているのと同じことかもしれません。
意外かもしれませんが、中小企業のWebサイトにおいて、最初から「広大な農園」を目指す必要はありません。しかし、「枯れた鉢植え」のままで放置してしまうのは、あまりにももったいない経営上の損失です。
ここでは、御社のWebサイトが今どの段階(フェーズ)にあり、次にどう手を打つべきか。診断と処方箋を示します。
目次
御社のWebサイトは今、どのステージにいますか?(3階層診断)

まずは現状を冷静に診断してみましょう。アールでは、企業のWeb活用フェーズを以下の3つの階層に分類しています。御社の現状はどこに当てはまるでしょうか。
Phase1「Care」:名刺代わりの現状維持(リスク管理)
これは、Webサイトをあくまで「コスト(経費)」として捉えているフェーズです。「取引先が銀行融資の審査で見るから」「名刺にURLがないと格好がつかないから」といった理由で維持されています。
中小企業庁の『2016年版中小企業白書』によると、従業員20名以下の企業において、ホームページの更新頻度は約56%が「不定期(ほぼ更新なし)」であるというデータがあります。また、アイ・モバイル株式会社の調査(2023年)では、小規模事業者のWebサイト開設率は48.5%にとどまるという結果も出ています。
実のところ、多くの企業がこのPhase1に留まっています。このフェーズ自体が悪いわけではありません。しかし、ここに留まり続ける限り、Webサイトが集客装置として機能することは難しいでしょう。あくまで「会社案内パンフレットをネットに置いただけ」の状態だからです。
Phase2「Standard」:月1回の水やりで育てる(資産化)

私たちが多くの(特にB2Bや専門業種の)中小企業にお勧めしているのが、このPhase2への移行です。Webサイトを「資産(投資対象)」へと育てていく段階です。
具体的には、「月に1回程度の更新」を継続している状態を指します。「たった月1回でいいのか?」と思われるかもしれません。しかし、株式会社JAM Community Designの調査レポートにおいても、多くの中小企業サイトが放置されている中で、月1回の更新を続けるだけで、情報の鮮度において上位30%に入ることが可能とされています。
では、Standardフェーズでは具体的にどのような「水やり」を行うのでしょうか。
【Standardフェーズで行う月1回の更新例】
- 最新の実績更新
直近で納品した事例や、工事完了後の写真を解説付きでアップする。
- 「よくある質問」の追加
営業現場で実際に聞かれた質問を、Web上のFAQに追加して育てる。
- 専門コンテンツの発信
「夏場のメンテナンス方法」など、プロだから知っている役立つ情報を出す。
これらは、無理なブログ執筆とは異なり、御社の日常業務の中にネタがあるものです。この積み重ねが「生存証明」となり、閲覧者(見込み客)に強烈な安心感を与えます。
Webサイトが「枯れた鉢植え」から「実のなる木」に変わる境界線が、このPhase2だといえます。
Phase3「Growth」:広告費を投下して攻める(急拡大)
ここは、Webサイトを「収益の柱」として最大化するフェーズです。広告費を投入し、SEO(検索エンジン最適化)のためにブログ記事を量産し、毎日のように数字を分析します。
魅力的ですが、ここには大きな落とし穴があります。多くの経営者が、Phase1(放置)の状態から、いきなりこのPhase3(急拡大)を目指してつまずいてしまうのです。

例えば、「月30万円の広告費をかけて1,000人をサイトに集めたが、サイト内の情報が3年前から止まっており、信頼されずに問い合わせが0件だった」というケース。
これは典型的な「穴の空いたバケツ」状態です。結果として、顧客獲得単価(CPA)が異常に高騰し、数ヶ月で「Webは儲からない」と撤退することになります。
Phase3へ進むには、まずPhase2の運用体制が定着し、バケツの穴が塞がっていることが絶対条件となります。
「Standard」への着地が、中小企業にとっての最適解である理由

ここまでで、多くの企業にとって目指すべき現実的なゴールは「Phase2 の Standard」であるとお分かりいただけたかと思います。
しかし、ここで一つの壁にぶつかります。「誰がその『水やり』をやるのか?」という問題です。
兼任担当者の限界と「インハウス化」の隠れたコスト
「総務の〇〇さんに兼任してもらおう」「若手の営業にやらせよう」。多くの社長が最初に考えるのが、社内リソースでの解決(インハウス化)です。
しかし、経験上、これはなかなか上手くいきません。Web担当者の悩みに関する調査でも、「他業務との兼任で時間が物理的に足りない」「専門知識がなく、何から手をつけていいかわからない」といった悲鳴が圧倒的多数を占めています。
本業の忙しい社員に「ついでにWebも更新して」と指示するのは、営業マンに「ついでに経理もやって」と言うのと同じくらい無理がある話です。結果として、Web更新は後回しにされ、再び「枯れた鉢植え」へと逆戻りしてしまいます。
さらに心配なのは、社員に「できない業務を押し付けられた」という疲弊感が残ることです。これは見えないコスト(組織の負債)と言えるでしょう。
外部パートナーとしての「Standardプラン」の定義
そこで選択肢となるのが、我々アールが提供しているようなWeb運用代行(Standardプラン)です。これは単なる「作業代行」ではありません。「御社のWeb担当者」を外部に雇う感覚に近いものです。
一般的な相場(Web幹事調べ)を見ても、コンテンツ更新を含む運用代行は月額数万円〜がボリュームゾーンです。このコストで、戦略の立案から記事の作成、公開作業までをプロが引き受けます。
大切なのは、「社長は経営判断だけを行えばいい」という状態を作ることです。「どんな記事を書くか」「どういうキーワードを狙うか」といった専門的な悩みは、プロが考えます。社長の仕事は、隣で伴走する私たちからの提案に対して「Go/NoGo」を判断することだけです。
【手順】社長の景色はどう変わるか(月1回の承認だけ)

具体的に、Standardプランを導入した場合、社長のタスクはどう変化するでしょうか。複雑な操作や学習は一切不要です。
- Step1:オンライン定例での方向性確認(月1回/30分)
「今の時期ならこの施工事例を出しましょう」といった提案を受け、承認します。
- Step2:素材の提供(スマホ写真でOK)
現場の写真や、お客様の声をスマホで撮ってチャット等で送るだけです。文章化はプロが行います。
- Step3:月次レポートでの成果確認
「先月はこれくらいの人が見に来ました」「ここからの問い合わせが増えています」という報告を受け、次の一歩を決めます。
これなら、本業を圧迫することなく、Webサイトという植物に水をやり続けることができます。
「社員を一人雇う」のと「プロに頼む」のはどちらが得か

コスト面についても、もう少し深く掘り下げてみましょう。もし、Webに力を入れるために専任の社員を採用しようとした場合、どれくらいのコストがかかるでしょうか。
月額30万円の人件費vs月額数万円の運用費
まず、Webの知識がある人材を採用しようとすれば、給与だけでなく社会保険料や採用コストを含め、最低でも月額30万円〜の固定費が発生します。
年間で300万円〜400万円の投資です。しかも、採用した人材が早期に退職してしまうリスクや、教育にかかる時間的コストも無視できません。
一方、Standardプランのような外部パートナーへの依頼であれば、コストはその数分の一、月額数万円〜で済みます。何より、雇用契約ではないため、経営状況に合わせて柔軟に見直すことが可能です。
固定費を極力抑えながら専門機能を手に入れる、という経営判断として、どちらが合理的かは明白ではないでしょうか。
専門スキルの幅広さを比較する
さらに「スキル(質)」の問題があります。Web活用には、デザイン、ライティング、SEO、アクセス解析、セキュリティ保守など、多岐にわたる専門スキルが必要です。
これら全てを高いレベルで兼ね備えた「スーパー社員」は、採用市場にはほとんどいませんし、いたとしても給与は高額になります。
アールのStandardプランは、それぞれの専門家がチームとして御社をバックアップします。一人の社員に依存するのではなく、組織としての知見を活用できる点も、外部パートナー活用の大きな安心材料です。
Webの「沈黙」を破り、御社の技術を正しく世に届けるために
御社の素晴らしい技術やサービスが、Webサイトが動いていないという理由だけで、検討の土台にすら乗らない。これは御社にとっての損失であるだけでなく、そのサービスを必要としている地域や顧客にとっても不幸なことです。
Webサイトは、少しの手入れで必ず蘇ります。いきなり高額な広告を打つ必要も、無理に社員を雇う必要もありません。まずは「枯れた鉢植え」に水を与えるところから始めましょう。
ここまで述べてきたのは、「御社の現在のフェーズに合わせて、適切な水やりの頻度と方法を選びましょう」という一点に尽きます。
「うちのサイトは今、どういう状態なのか?」「Standardにするには具体的にいくらかかるのか?」
もしそう思われたなら、まずはアールの「無料相談」をご利用ください。無理な売り込みは一切いたしません。現状を整理し、御社に最適な「水やりの頻度」をお伝えするだけの時間です。
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参考文献・出典
- 中小企業庁(2016)|2016年版中小企業白書
- アイ・モバイル株式会社(2023)|【2023年自主調査】中小企業のホームページ開設率はどのくらい?
- Web幹事(2025)|ホームページ運営代行会社おすすめ19社と費用相場【2025年最新版】
- JAM Community Design(2024)中小企業にとって最適なホームページの更新頻度を考える
この記事を書いた人
嶺利久
Webコンサルタント(グロースパートナー)
Webマーケティング歴15年。中小企業を中心に300社以上のWebサイト制作・マーケティング支援に従事。「ローカル企業をGROWTHする」をモットーに、地域企業のROI最大化を専門とする。Webサイトへの投資を「コスト」から「資産」へと変革する戦略を得意としている。



