
ホームページは、放置していい。最初にそう断言します。
もちろん、何年も情報を更新せず、「デジタル廃墟」のままで良いわけではありません。私が申し上げたいのは、『社長であるあなたが、更新作業に追われる必要は1ミリもない』ということ。
多くの経営者は、真面目です。「自社で作ったサイトなのだから、自分たちで更新しなければならない」という強迫観念に駆られています。しかし、今の検索エンジン(AI)やSEOのトレンドにおいて、重要なのは「無闇な更新頻度」よりも「情報の正確な構造化」であることをご存知でしょうか?
ここで言う「構造」とは、単なる見た目のことではありません。①情報設計 ②内部リンク設計 ③カテゴリ体系 ④構造化データ(スキーマ) ⑤一貫したE-E-A-T。これらが緻密に組み合わさって初めて、AIはあなたのサイトを「信頼できる情報源」として認識するのです。
つまり、素人が無理に触るよりも、プロが一度整えた「構造」を維持する方が、Web資産としての価値は高まります。
中小企業の約68%が「Web専任者不在」という現実の中で、Webサイトを資産化するための唯一の解。それは、「戦略的放置」という構造を作ることです。今回は、社長が実務から手を放し、それでも勝手に成果が積み上がっていく「仕組み」について解説します。
【この記事でお伝えしたいこと】
- なぜ、真面目な社長ほど「Web活用」に失敗してしまうのか?
- 「悪い放置(デジタル廃墟)」と「良い放置(資産化)」の決定的な違い
- 採用するより圧倒的に安い? 「戦略的アウトソーシング」の費用対効果
- 制作会社の実力を見抜くための、たった一つの「魔法の質問」
目次
なぜ、あなたの会社のホームページは更新できないのか?

人材不足と兼任体制の限界。これは御社の怠慢ではなく、日本企業の構造的な課題です。
「ホームページ、最後に更新したのはいつですか?」
この質問をすると、多くの経営者がバツの悪そうな顔をされます。「いやあ、やらなきゃとは思うんだけど、日々の業務が忙しくて…」と。
まず、その罪悪感を捨ててください。更新が続かないのは、社長の怠慢でも、社員の能力不足でもありません。日本のビジネス構造上、『中小企業が自力でWebを運用するのは、土台無理な話』なのですから。
「更新しなきゃ」という強迫観念の正体
社長の仕事は何でしょうか。言うまでもなく「経営判断」です。利益を生み出し、会社を存続させるための意思決定ですね。
一方で、Webサイトの更新作業はどうでしょうか。画像のサイズを調整し、文章を推敲し、SEO(検索対策)を意識してタグを設定する。これは高度な「実務」といえます。時給数万円の価値がある社長が、慣れない管理画面と格闘して半日を潰す。これこそが最大の機会損失です。
「更新しなきゃ」という焦りは、Webを「会社案内(コスト)」として見ているから生まれます。Webを「収益を生む事業(投資)」と捉え直せば、自力でやるべきかどうかの判断は変わるはずです。
データが示す「専任不在」は日本の標準仕様
「うちはITに弱いから」と卑下する必要もありません。データを見れば、それが日本企業のスタンダードであることがわかります。
中小企業庁の『2024年版中小企業白書』によれば、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の最大の壁は「予算」ではなく「人材不足」であると明記されています。
また、アイ・モバイル株式会社が行った調査でも、小規模事業者の約半数がホームページを開設していないか、開設していても活用できていない実態が浮き彫りになっています。
要するに、どの会社にも「Web専任者」などいないのです。総務や営業事務の片手間にできるほど、現代のWebマーケティングは甘くありません。できないことをやろうとするから、苦しくなる。単純な話です。
「悪い放置」と「良い放置」。その決定的な違いとは

セキュリティリスクを放置するのは「悪」ですが、プロに権限委譲する「戦略的放置」は「善」です。
では、更新できないなら放置して良いのか。ここで重要になるのが、「放置」の質です。世の中には、会社を危険に晒す「悪い放置」と、利益を生む「良い放置」の2種類があるのをご存知でしょうか。
放置が招く「デジタル廃墟」のリスクと機会損失
まず、避けるべき「悪い放置」について触れておきます。これは、管理者が不在のまま、サーバー上でサイトが野ざらしになっている状態です。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の調査によると、サイバーインシデントによる平均被害額は約73万円に上ります。さらに恐ろしいのは、被害の上位がWebサイトの「改ざん」や「サービス停止」である点です。
1.過去3期内で、サイバーインシデントが発生した企業における被害額の平均は73万円(うち9.4%は100万円以上)、復旧までに要した期間の平均は5.8日(うち2.1%は50日以上)
更新されていないサイトは、セキュリティの穴(脆弱性)が放置されたままになります。これは、鍵をかけずに金庫を路上に置いているのと同じです。顧客からの信頼を失うだけでなく、最悪の場合、加害者として取引先にウイルスをばら撒くリスクさえあります。これが「悪い放置」です。
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良い放置=「戦略的アウトソーシング」という考え方
対して「良い放置」とは何でしょうか。それは、『管理と運用の責任をプロに委託し、社長は報告を受けるだけの状態にすること』です。
IPAの管理指針でも、システム管理者が社内にいない場合は、外部委託を含めた体制構築が推奨されています。
「丸投げ」というと聞こえは悪いですが、経営用語で言えば「戦略的アウトソーシング」。プロの制作会社(パートナー)が裏側でセキュリティパッチを当て、コンテンツを更新し、アクセス解析を行う。社長は月に一度、上がってきたレポートを見て「順調だね」「次はここを攻めよう」と判断するだけです。
これこそが、Web資産化への最短ルートといえます。
社長が承認すべき3つの「構造化」チェックリスト
「良い放置」を実現するために、社長が決めるべきことは以下の3点だけです。これ以外は、パートナーに任せて構いません。
Web資産化のための意思決定リスト
- ✅ 目的の定義
何のためにWebをやるのか(採用?新規開拓?ブランディング?)。ここがブレるとパートナーも動きようがありません。
- ✅ 予算の確保
「経費(なるべく安く)」ではなく「投資(リターンを得る)」として、年間いくらまで使えるか。
- ✅ パートナーの選定
「言われた通りに作る業者」ではなく、「提案してくる参謀」を選べるか。
コストか投資か。自社採用とStandardプランの徹底比較

自社採用は固定費のリスク。アウトソーシングは変動費の投資。どちらが経営に優しいかは明白です。
「でも、外注すると高いだろう?」そう思われるかもしれません。しかし、ここでも電卓を叩いて冷静に比較してみます。「社内で人を雇うコスト」と「プロチームを雇うコスト」の比較です。
Web担当者一人を雇う「見えないコスト」
もし、まともなWeb担当者を社内で雇おうとすれば、どれくらいのコストがかかるでしょうか。経験者を採用する場合、年収400〜500万円は下りません。さらに社会保険料、交通費、PCなどの設備費が上乗せされます。
忘れてはならないのが「採用コスト」です。『中途採用状況調査』などの市場データを見ても、一人採用するだけで数十万〜百万円単位のコストがかかります。これらを合算すると、【採用コスト+社保+教育負担=年間約580万〜650万円】の固定費がかかる計算になります。
つまり、雇うだけで年間600万円以上。では、それに見合う成果をすぐに返せる体制やノウハウが、今の社内にありますか?
苦労して採用しても、指導できる人間がいなければ定着せず、早期退職されるリスクもつきまといます。Web担当者を一人雇うことは、それだけの固定費リスクを負うことと同義なのです。
月額制パートナーシップ(Standardプラン)の経済合理性
一方で、私たちアールが提供する「Standardプラン」のような伴走型サービスはどうでしょうか。具体的な金額はプランによりますが、社員一人を雇うコストの数分の一で済みます。
しかも、手に入るのは「一人の担当者」ではありません。
- サイト構築のエンジニア
- 集客を考えるマーケター
- 心を動かすライター
- デザインを整えるデザイナー
これらの専門家チームを、必要な時に必要なだけ使える権利。それがStandardプランの本質です。固定費(人件費)を変動費(外注費)に変え、かつクオリティはプロ品質。経営判断として、どちらのROI(投資対効果)が高いかは明白ですね。
事例で見る「任せた会社」と「抱え込んだ会社」の末路
仕組みを持たずに挑んだB社と、仕組みを買ったA社。1年後の明暗を分けたのは「手放す勇気」でした。
論より証拠。実際にあった2つのケースを見てみましょう。
【失敗例】若手社員に「SNSも頼む」と丸投げした結果
ある製造業のB社では、新入社員のC君に「若いから詳しいだろう」とWeb担当を兼任させました。最初は張り切ってブログやSNSを更新していましたが、本業の営業事務が忙しくなると更新はストップ。
1年後、C君は「業務過多」を理由に退職してしまいました。残されたのは、パスワードもわからずログインできなくなったホームページと、半年以上止まったままのSNSアカウント。まさに「デジタル廃墟」となってしまったのです。
【成功例】月1回の定例会だけ出席するA社長の場合
一方、建設業のA社は、最初から「社内ではやらない」と決め、アールとパートナー契約を結びました。A社長がやることは、月1回のオンライン定例会への参加だけ。「今月は問い合わせが3件増えました」「次は施工事例を厚くしましょう」という報告を受け、現場の写真をスマホで送るだけです。
記事の作成やSEO対策はすべてアール側で実行。1年後、A社のサイトは地域キーワードで検索1位を獲得し、毎月安定して新規の問い合わせが入る「自動集客装置」へと育ちました。
【事例からの学び】
- 兼任Web担当は離職リスクを高める
業務過多は社員の疲弊を招き、結果として更新も止まる。
- 更新停止は資産価値を毀損する
ログインできないサイトは、もはや負債でしかない。
- 運用パートナーは社長の意思決定負荷を減らす
プロに任せることで、社長は本業の経営判断に集中できる。
信頼できるパートナーの見極め方

「作って終わり」の制作会社と、「育てて伸ばす」パートナー。たった一つの質問で見抜くことができます。
「良い放置」を実現するためには、パートナー選びが命です。制作会社ならどこでも良いわけではありません。「作って終わり」の会社に頼めば、結局あなたが更新することになります。
「作って終わり」の業者を見抜く魔法の質問
商談の際、ぜひこの質問を投げかけてみてください。私たちも歓迎する質問です。
『公開した後、具体的にどのような運用計画を持っていますか?』
もし、「更新ツールを入れるので、お客様の方で自由に更新できますよ」と答えたら要注意です。それは「道具は渡すから、あとは自分で頑張れ」と言っているのと同じだからです。
信頼できるパートナーなら、こう答えるはずです。「公開後がスタートです。まずは3ヶ月でデータを集め、半年後にはこのキーワードでの上位表示を目指しましょう。そのために毎月これだけの記事を投入します」
未来のロードマップを語れる相手か。あなたの会社の「Web事業部」になり得るか。そこを見極めていただきたいのです。
まとめ:Webは「育てる」資産。まずは現状の診断から
ホームページは、作って終わりではありません。かといって、社長が汗をかいて育てるものでもありません。正しいパートナーを選び、正しい構造(仕組み)を作れば、Webサイトは勝手に育ち、24時間365日働く優秀な営業マンになります。
「Webのことはよくわからない」
それで構いません。社長の仕事は、わからない実務を勉強することではなく、わかるプロに任せるという「決断」をすることだからです。
ここまでの内容はすべて、社長が実務から手を放しても成果が積み上がる「構造」の話です。
もし、今のホームページが「資産」ではなく「負債」になっていると感じるなら。あるいは、これから作るサイトを確実に「資産」にしたいと願うなら。まずは一度、私たちアールの無料相談をご利用ください。あなたの会社のWebサイトが、現在どのような状態で、どうすれば「自動集客装置」に変わるのか。プロの視点で診断します。
現状を知ることもまた、重要な経営判断の一つですから。一緒に「次の一歩」を整えていきましょう。
あなたのサイトは資産ですか?負債ですか?プロの目で無料診断します。
参考文献・出典
- 中小企業庁(2024)|2024年版中小企業白書(第1部第4章DXの取組状況)
- 総務省(2023)|令和5年版情報通信白書(企業のインターネット利用状況)
- アイ・モバイル株式会社(2023)|【2023年自主調査】中小企業のホームページ開設率はどのくらい?
- IPA独立行政法人情報処理推進機構(2025)|2024年度中小企業等実態調査(サイバーインシデント被害)
- IPA独立行政法人情報処理推進機構(2019)|安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条
- マイナビキャリアリサーチLab(2025)|中途採用状況調査2025年版
この記事を書いた人
嶺利久
Webコンサルタント/グロースパートナー
Webマーケティング歴15年。中小企業を中心に300社以上のWebサイト制作・マーケティング支援に従事している。「ローカル企業をGROWTHする」をモットーに、地域企業のSEOやコンテンツマーケティング戦略を得意としている。近年はAIO/LLMO(AI最適化)の研究・導入支援にも注力し、AI時代への適応をサポートしている。



