
「いつもの取引先からの請求書メール。でも、件名の日本語が少し変かも…?」
経理担当者が、ほんの一瞬だけ感じた違和感。しかし、月末処理に追われ『まあ、大丈夫だろう』と添付ファイルを開く。そのワンクリックが、自社だけでなく、大切な取引先まで巻き込む事故の引き金になります。
2025年以降、ランサムウェア被害の起点は「中小企業」へ移っています。
『ウチのような中小企業に、盗まれて困るような機密情報なんてない』。本業で手一杯の中、目に見えないWebセキュリティにコストをかけるのは気が進まない。それが、偽らざる本音でしょう。
しかし、状況は変わりました。現代のサイバー攻撃は「情報の窃盗」から、「中小企業を『踏み台』にした大企業への侵入」や、「事業を停止させて身代金を奪う」手口へシフトしています。あなたの会社は「被害者」になるだけでなく、取引先にウイルスをばら撒く「加害者」になるリスクに晒されています。
プロの視点から見ても「完璧な防御は不可能」です。だからこそ、私たちが提案するのは「鉄壁の防御」ではありません。それは、被害をゼロにする力ではなく、被害を「最短で無かったことに戻す力=復旧力」です。
今回は、経営者が知っておくべき「信用を守るための考え方」をお伝えします。

目次
中小企業のランサムウェア対策は、ウイルス対策ソフトだけでは不十分
『会社のパソコンにはウイルス対策ソフトを入れているから大丈夫』。そう考えがちですが、それだけでは防ぎきれない「穴」があります。
人の目は欺かれる:心理的死角を突く攻撃の手口
「なりすましメール」の手口は、年々巧妙化しています。
世界中で猛威を振るった「Emotet(エモテット)」の手口を継承し、さらに巧妙化した新型ウイルスなどは、過去にやり取りした実際のメールの文面や件名を流用して送られてきます。
※ この攻撃は「知識不足」ではなく、「忙しさ」と「慣れ」を突いてきます。
『Re: 先日の請求書について』という件名で、知っている担当者名から届く。
↓
疑わずに添付ファイルを開く。
これが現場の心理です。
これはシステムの問題ではなく、心理的な死角を突いた攻撃です。
「社員教育の徹底」で、人間のミスをゼロにすることはできません。「誰が開いたか」という犯人探しよりも、「開いてしまうことはある」前提で、仕組みを考えましょう。
平均2,386万円の代償:情報漏洩よりも怖い「加害者」リスク
感染した場合、被害は自社内だけで収まりません。パソコン内のアドレス帳にある取引先へ、あなたの会社名でウイルスメールがばら撒かれます。これがいわゆる「サプライチェーン攻撃」です。

JNSA(日本ネットワークセキュリティ協会)の調査によると、サイバー攻撃による被害額(賠償損害や対応費用を含む)の平均は2,386万円に上ります。
最も恐ろしいのは、金銭的損失よりも「信用の失墜」です。『お宅からのメールでウイルスに感染した』と取引先から連絡が来たとき、これまでの信頼関係は崩れ去ります。
セキュリティ対策は「防犯」ではなく「取引継続のためのライセンス」なのです。
「誰が開いたか」を犯人探ししても意味がない
従業員の不注意を責めても解決しません。必要なのは、精神論ではなく「仕組みによるカバー」です。
万が一、怪しいファイルを開いてしまった時、現場のスタッフが取るべき行動は一つです。
「LANケーブルを抜く。Wi-Fiを切る。」
これだけで、外部への情報流出やウイルス拡散を食い止められる可能性が格段に上がります。
しかし、これらはあくまで応急処置。根本的な解決にはなりません。そこで重要になるのが、次にお話しする「復旧」の備えです。
【衝撃の事実】中小企業のバックアップは、8割が復旧できていない
『うちはバックアップを取っているから、データが消えても大丈夫』。そう確信している経営者様こそ、このデータには驚かれます。
なぜバックアップごと消えるのか:ランサムウェアの残酷な現実
警察庁のデータ(令和4年)によると、ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)の被害に遭った企業の83%がバックアップを取得していました。しかし、そのうちの約81%は「バックアップから復元できなかった」と回答しています。

なぜ、これほど高い確率で復旧に失敗するのか。理由は単純。「バックアップデータも同じサーバー内にあり、同時に暗号化されたから」です。
ランサムウェアは侵入すると、システム内のあらゆるデータを暗号化して使えなくします。この時、同じサーバー内に保存されていたバックアップデータも同時に暗号化されます。
『鍵のかかった金庫の中にスペアキーを入れておく』状態では、いざという時に役に立ちません。
アール式「二重保険」:サーバー内×クラウドの鉄壁仕様

ここで、私たちアールが提供する保守・サポートプランの仕様がなぜ「二重」になっているのか、その理由をご説明します。
私たちは、お客様のデータを以下の2段階で守っています。これは「万が一」を前提に、事業を止めないために設計された運用です。
1. 【週1回】サーバー内バックアップ(過去8世代保管)
直近約2ヶ月分(8世代)のデータを保持します。誤って記事を消してしまった場合など、日常的なトラブルから素早く復旧するための「普段使いの保険」です。一般的なサーバー会社のバックアップよりも長期間保管するため、トラブル発覚が遅れても安心です。
2. 【月1回】外部クラウドバックアップ
サーバーとは物理的に異なる「クラウドストレージ」へデータを隔離・保存します。もしサーバー全体が攻撃を受けてダウンしたり、ランサムウェアですべて暗号化されたりしても、外部にあるこのデータは無傷で残ります。
この「2.」が決定的に重要です。完全なオフライン管理ではありませんが、サーバーが全滅したとしても外部にデータが残るこの仕組みは、中小企業にとって最もコストパフォーマンスが高く、現実的な「事業継続の切り札」となります。
「明日データが消えても事業再開できるか」を確認する手順
「バックアップを取っている」という報告だけで満足せず、経営者として以下の点を確認してください。技術的な詳細は分からなくても、この問いかけだけでリスクが見えます。
- バックアップデータは、本番サーバーと「別の場所」にありますか?
- そのバックアップは「いつ」のものまで遡れますか?(数日分では、ウイルス潜伏期間に対応できない場合があります)
- 万が一の時、誰が復旧作業を行うか決まっていますか?(復旧費用は見積もりに含まれていますか?)
これらに即答できない場合、そのバックアップは「戻せない」可能性があります。
Webサイトは「放置空き家」ではなく「警備付きビル」へ

Webサイトを作ったまま放置することは、リアルな世界で言えば「鍵を開けっ放しにした空き家」を放置しているのと同じです。
私たちは、お客様が本業に集中できるよう、Webサイトという「資産」の管理人を務めます。
一般的な「安価な保守(〜1万円程度)」と、私たちアールの保守の違いについて、建物の管理に例えてご説明します。
1. サイトの心臓部と土地の管理(インフラ保守)
Webサイトを動かすには、サーバー(土地)やドメイン(住所)、そしてPHPなどのプログラム(心臓部)の管理が不可欠です。
- 一般的な保守
お客様自身での管理が多く、更新期限を忘れてサイトが突然消える事故が多発します。プログラムの更新も含まれないことが多く、古くなるほど動作が不安定になります。
- アールの保守
契約更新や設定はすべて私たちが管理するため、期限切れによるサイト停止リスクはほぼゼロです。また、サイトを動かす根幹システム(PHP/MySQL)も計画的に最新版へ更新し、常に健康な状態を整えます。
2. 建物のセキュリティと防災(システム保守)
現在、多くの企業サイトで使用されている「WordPress」は、世界中で使われているため攻撃の標的になりやすいシステムです。
- 一般的な保守
更新は「自動更新」任せか、対象外であることがほとんどです。放置されたWordPressはセキュリティホールだらけとなり、最も狙われやすい状態になります。
- アールの保守
WordPress本体やプラグイン(拡張機能)を、月に1回、専門家が安全性を確認した上で手動更新します。「更新したらサイトが壊れた」というトラブルを防ぎつつ、セキュリティの穴を塞ぎます。 さらに、24時間365日のセキュリティ監視を行い、攻撃の兆候があれば未然にブロックします。
3. 万が一のトラブル対応(障害復旧)
どれだけ対策しても、トラブルが起きる可能性はゼロではありません。その時の対応にこそ、真価が問われます。
- 一般的な保守
「復旧作業は別料金」が基本です。急いで直したいのに、高額な見積もりが来て決裁に時間がかかる…という事態になりがちです。
- アールの保守
サーバーやシステム起因の不具合であれば、追加費用なしで復旧させます。私たちは「作って終わり」ではなく、「事業を止めない」ことに責任を持ちます。
アールの保守・サポートまとめ
| サービス項目 | アールの保守内容 | 一般的な安価な保守との違い |
|---|---|---|
| 【サイトの心臓部と土地の管理】 | ||
| サーバー・ドメイン管理 | 契約更新や設定を全て代行管理。期限切れによるサイト停止リスクはゼロです。 | 自己管理が多く、更新忘れでサイトが消える危険があります。 |
| SSL証明書管理 | 常に有効状態を維持。「保護されていない通信」等の警告表示を防ぎます。 | 更新漏れにより、警告表示が出てしまうケースがあります。 |
| PHP・MySQLの管理 | 根幹システムを定期的に最新版へ更新。サイトの安定性と速度を保ちます。 | ほぼ含まれません。古いまま放置され、不具合や脆弱性の原因になります。 |
| 【建物のセキュリティと防災】 | ||
| WordPress本体の管理 | 月1回、専門家が安全確認の上で最適なバージョンへ手動更新します。 | 自動更新任せや対象外が多く、予期せぬ不具合の原因になります。 |
| プラグイン(拡張機能)の管理 | 月1回、互換性を確認しながら全ての拡張機能を安全に更新します。 | ほぼ含まれません。放置すると格好の攻撃対象(セキュリティホール)になります。 |
| セキュリティ監視 | 24時間365日体制で不正アクセスを監視し、脅威を未然にブロックします。 | 含まれません。攻撃被害を受けてから初めて気づくことになります。 |
| 自動バックアップ | 週1回データを自動バックアップ。過去8世代(約2ヶ月分)を保管します。 | サーバー会社の簡易機能のみで、復旧に高額な費用や時間がかかります。 |
| 【万が一のトラブル対応】 | ||
| 障害対応 | サーバー・システム起因の不具合は、追加費用なしで迅速に復旧させます。 (お客様自身の更新ミス等は、別途お見積りとなる場合があります) | 都度見積もり(高額)となるのが一般的です。(例:復旧作業5万円〜) |
セキュリティ対策は「ITコスト」ではなく「信用の維持費」
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
サイバー攻撃は「いつか起きるかもしれない災害」ではなく、「いつ起きてもおかしくない事故」です。そして、その被害は自社の金銭的損失にとどまらず、取引先からの信用失墜という形で跳ね返ってきます。
防御に100%はありません。どれだけ高い壁を築いても、破られる時は破られます。だからこそ、賢い経営判断として「破られても、すぐに元通りにできる復旧力」に投資をしてください。
サーバーとは別の場所に、データが確実にある。この事実がもたらす安心感こそが、私たちアールが提供したい価値です。逆に言えば、これを即答できない状態は、すでにリスクを抱えている状態とも言えます。
セキュリティは専門知識の問題ではありません。「戻せるかどうか」を把握しているかどうか。それだけでリスクの大半は見える化できます。
もし今、「ウチのサイトは大丈夫だろうか?」と少しでも感じたなら、一度アールにご相談ください。現状を確認するだけでも、判断材料は確実に増えます。
「ウチのサイト、大丈夫?」を確認する(無料相談はこちらから)
参考文献・出典
- 警察庁|令和4年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/data/R04_cyber_jousei.pdf
- JNSA(日本ネットワークセキュリティ協会)|インシデント損害額調査レポート https://www.jnsa.org/result/incidentdamage/data/2024-2.pdf



