一杯のラーメンから始まった、食のエンターテイメント企業の挑戦
大分県を中心に、九州各地で7業態30店舗のラーメン店を展開する株式会社ヤマナミ麺芸社。
「ニッポンの食文化を未来へつなぐ」という理念のもと、飲食店経営にとどまらず、食品製造・加工・卸事業、地域活性化事業と、食を軸に多角的に事業展開しています。
その躍進を支えるのが、いち早く取り組んだDX戦略。ここでは、長年のパートナーであるアール株式会社の衞藤が、ヤマナミ麺芸社の執行役員・経営企画室室長の谷口様(以下:谷口さん)に、同社のDX推進の軌跡、そしてGoogle Workspace(※1)導入のリアルなストーリーを伺います。
目次
- 1. 地方の小さなラーメン屋から、九州の食文化を牽引する企業へ
- 2.Google Workspace導入以前の課題は、情報共有の煩雑さ、属人化、アナログな管理体制
- 3.Google Workspace導入のきっかけと経緯。導入の決め手は「使いやすさ」
- 4.Google Workspace導入後の効果とは?業務効率化、コスト削減、そして意識改革
- 5.具体的な活用事例(スプレッドシート、LookerStudio、Chatwork…多彩なツールを駆使)
- 6.ヤマナミ麺芸社におけるDX推進。トップダウンとボトムアップ、そして継続的な学習
- 7.今後の展望と課題。さらなる効率化、ITリテラシー向上、そして世界へ
- 8.地方企業へのメッセージ
- アール株式会社は地方企業の成長を支えるパートナー
1. 地方の小さなラーメン屋から、九州の食文化を牽引する企業へ
衞藤:谷口さん、本日はよろしくお願いいたします。まずは、改めてヤマナミ麺芸社の事業内容について教えていただけますか?
谷口さん:1994年に別府市で「ふくやラーメン」を創業したのが始まりです。その後、「麺堂香」「太一商店」「馬力屋」「味噌乃家」など、特徴あるラーメン店を次々と展開し、現在では大分県を中心に、熊本・福岡・鹿児島にも進出し、7業態30店舗を運営しています。
衞藤:すごい勢いですね!飲食店経営だけでなく、食品製造や地域活性化事業にも力を入れているとお聞きしました。
谷口さん:はい、自社製麺所を活かした麺や餃子の製造・卸、後継者不足の老舗店の事業承継などにも積極的に取り組んでいます。九州の食文化を未来へ繋いでいくことが、私たちの使命だと考えています。
衞藤:素晴らしいですね!私たちアール株式会社は、御社がまだ「ゴールドプランニング」として吉岩社長が事業を継承したころからのお付き合いですが、今日はGoogle Workspace導入によるヤマナミ麺芸社の成功事例を、これからDXを検討する地方企業の皆様に紹介していきたいと思います。本日はよろしくお願いします。
2.Google Workspace導入以前の課題は、情報共有の煩雑さ、属人化、アナログな管理体制
衞藤:ヤマナミ麺芸社がGoogle Workspaceを導入したのは2012年頃、まだ社員数が20名に満たない頃でしたね。
谷口さん:そうですね。その頃は社員も少なかったので、各々がフリーのGoogleアカウントを作ってGmailを使って、それが当たり前でした。資料はExcelで作成してファイルサーバーに保存、共有していました。
衞藤:当時の課題は何でしたか?
谷口さん:まず、情報共有の煩雑さですね。Excelファイルをメールで送ったり、サーバーにアップロードしたりしていましたが、誰がどのバージョンのファイルを持っているのか分からなくなることが頻繁にありました。必要な時に限って、古いバージョンのファイルを参照してしまったり、編集したはずの最新ファイルが見つからなかったり…。保存忘れや、誤ってファイルを上書きしてしまうこともしょっちゅうでしたね。
衞藤:当時のファイルサーバーは、社内からしかアクセスできませんでしたよね?
谷口さん:そうなんです。だから、外出先で急に資料が必要になった時は、会社に戻るか、誰かにメールで送ってもらうしかありませんでした。本当に不便でしたね。
衞藤:情報管理もアナログだったそうですね。
谷口さん:はい、店舗の開店準備チェックリストや、社員のスケジュール管理は紙ベースで行っていました。チェックリストは、社長が来る時だけきちんと記入するような、形骸化したものになっていましたね(笑)
衞藤:なるほど。情報共有の非効率性、属人化、アナログな管理体制…。まさに、当時の地方の小さな会社によくある課題ですね。
3.Google Workspace導入のきっかけと経緯。導入の決め手は「使いやすさ」
衞藤:当時、弊社がGoogle Workspaceを利用していたことから、吉岩社長もご興味を持たれて、それならとGoogle WorkspaceとChatworkの導入を提案させていただきました。
谷口さん:当時、Google Appsという名前でしたね。正直、ITツールに詳しくなかったので、最初は戸惑いもありました。
衞藤:導入の決め手は何でしたか?
谷口さん:同時編集やどこからでもアクセスできる利便性、情報共有の円滑化による業務効率向上など、具体的なメリットを丁寧に説明してもらえたのが大きかったです。コスト面でも、従来のファイルサーバー管理費用と比べて安価だったのも魅力でしたね。
衞藤:そうですね。Google Workspaceは、ユーザー1人あたり月額680円から利用できるので、コストパフォーマンスも非常に高いサービスです。
谷口さん:はい。あとは、衞藤さんとの信頼関係ですね。長年のお付き合いの中で、私たちの事業内容や課題を深く理解してくれていたので、安心して導入を任せられました。
4.Google Workspace導入後の効果とは?業務効率化、コスト削減、そして意識改革
衞藤:導入後、どのような効果がありましたか?
谷口さん:まず実感したのは、業務効率の劇的な向上です。情報共有がスムーズになり、無駄な時間を探すことがなくなりました。スプレッドシートの同時編集機能は、複数拠点のメンバーと同時に作業できるので非常に便利ですね。資料を探す時間も大幅に減り、年間1800万円ほどのコスト削減になったと試算しています。
衞藤:コスト面以外ではいかがですか?
谷口さん:サーバー管理費用が不要になっただけでなく、情報共有にかかる時間や労力も大幅に削減できました。どこにいても、どのデバイスからでもアクセスできるので、外出先でもすぐに必要な情報を確認できますし修正も可能です。結果的に、大きなコスト削減と業務効率化に繋がっています。
衞藤:Google Workspace導入は、単なる業務効率化だけでなく、社員さんの意識改革にも繋がったそうですね。
谷口さん:はい、情報共有の進化によって、社内全体で情報を可視化できるようになり、社員一人ひとりの意識が変わりました。「情報共有は当たり前」という文化が根付き、チームワークも強化されましたね。以前は、自分のパソコンに保存したファイルを「自分のもの」として抱え込んでいましたが、今では「会社の財産」という意識で共有するようになりました。
5.具体的な活用事例(スプレッドシート、LookerStudio、Chatwork…多彩なツールを駆使)
衞藤:具体的に、どのようなツールをどのように活用しているのか教えてください。
谷口さん:スプレッドシート(※2)は、業務進捗管理表、売上管理、シフト管理、マニュアル作成など、さまざまな用途で活用しています。Googleフォーム(※3)は、顧客アンケートや従業員アンケートに活用していますね。
LookerStudio(※4)では、売上や労働時間、生産性などのデータを可視化・分析しています。例えば、全社員の業務内容をスプレッドシートで可視化し、1ヶ月単位のタイムスケジュールを作成することで、業務の棚卸を行い、ルーティンワークを洗い出しました。この8割を占めるルーティンワークの効率化に取り組んでいます。
衞藤:以前は紙だったチェックリストも、Googleフォームでデジタル化されましたね。
谷口さん:はい、リアルタイムで誰がいつチェックしたのかが分かるようになり、形骸化を防ぐことができました。さらに、GAS(※5)で私がスクリプトを組んで、チェック漏れがあった場合はChatwork(※6)でアラートが飛ぶ仕組みを導入したことで、チェック率が大幅に向上しました。
衞藤:すごいですね!独学でそこまでできるようになったのですか!?
谷口さん:業務を効率化したい一心で、必死に勉強しました。
衞藤:素晴らしいですね!
谷口さん:Chatworkは、社内コミュニケーションの中心ツールになっています。
衞藤:GoogleChatもGoogle Workspaceに含まれていますが、Chatworkを選んだ理由は?
谷口さん:情報共有、業務指示、タスク管理、連絡など、あらゆるコミュニケーションをChatworkで行っています。今ではすっかりなくてはならないツールです。強いて言えばGoogleChatだとエンターキーで送信してしまうミスが多いんです。エンターキーは改行と思い込んでいたのもありましたが。
衞藤:以前は、社内コミュニケーションはどうしていたのですか?
谷口さん:口頭でのやり取りが多かったですね。でも、それでは伝言ゲームみたいになってしまって、情報が正確に伝わらないことがよくありました。それに、誰がいつ、どんな指示を出したのか、記録が残らないので、後からトラブルになることもありました。
衞藤:Chatwork導入によって、コミュニケーションミスも減ったんですね。
谷口さん:はい、大幅に減りましたね。それに、過去のやり取りをいつでも検索できるので、情報共有の効率も格段に向上しました。
衞藤:GASを活用した業務自動化にも取り組みたいとお話されていましたね。
谷口さん:はい。今後はスプレッドシートに入力されたデータをもとに、自動で請求書を作成する仕組みを構築したいと考えています。請求書のフォーマットは取引先によって異なるので、以前は手作業で作成していましたが、自動化できれば大幅に時間を削減できそうです。
衞藤:請求業務の自動化は、多くの企業が抱える課題ですね。うまくいけば、大幅な業務効率化に繋がりますね。
6.ヤマナミ麺芸社におけるDX推進。トップダウンとボトムアップ、そして継続的な学習
衞藤:ヤマナミ麺芸社では、どのようにDXを推進しているのですか?
谷口さん:基本的には、社長主導のトップダウンで進めています。社長自身もITリテラシーが高く、常に新しい技術やツールにアンテナを張っています。一方で、現場の声を聞きながらボトムアップで改善していくことも大切にしています。例えば、食材の発注業務で「間違いたくないから怖い、発注したくない」という声があったとしたら、在庫量から必要数を自動で算出して誰でも発注ができる仕組みをGoogle Workspaceで構築する、といった具合です。
衞藤:社長のビジョンと現場のニーズをうまく融合させているんですね。
谷口さん:はい。DXを推進するには、現場の理解と協力が不可欠です。そのため、私たちは、新しいツールを導入する際には、必ず現場の意見を聞き、使い方を丁寧に説明するようにしています。
衞藤:社員教育にも力を入れているそうですね。
谷口さん:はい、Google Workspace活用スキル向上のための社内勉強会を定期的に開催しています。動画教材なども活用し、全員がスキルアップできる環境づくりに努めています。
衞藤:谷口さんは、以前は熊本の馬力屋で働いていたそうですが、ITとは無縁の職場だったとお聞きしました。
谷口さん:そうなんです。当時の私は本当にITリテラシーが低くて…。パソコンを使うのは、せいぜいExcelで簡単な表計算をするくらいでした。
衞藤:そこから、どのようにしてDX推進のリーダーにまでなったのですか?
谷口さん:きっかけは、社長から「会社のDX化を進めたい」という話があり、アールさんからGoogle Workspaceの提案を受けたことです。入社当時からフリーのGmailアカウントを使っていたので、抵抗なく移行できました。今では、社内システムの構築や運用、社員教育まで、幅広く担当しています。
衞藤:素晴らしいですね!谷口さんの取り組みは、私たちにとっても大きな気づきになります。
谷口さん:ありがとうございます。Google Workspaceは、ある意味私の人生を大きく変えてくれました。
衞藤:(笑)。それは嬉しいですね。
谷口さん:それに、一度Google Workspaceを経験してしまうと、もう以前のローカル環境でのファイル管理には戻れませんね(笑)。皆さんはどうやって管理しているのですか?
衞藤:(笑)。確かに、クラウドの利便性を体験してしまうと、もう元には戻れないですよね。
7.今後の展望と課題。さらなる効率化、ITリテラシー向上、そして世界へ
衞藤:今後の展望について教えてください。
谷口さん:まずは、Google Workspaceを活用したさらなる業務効率化・生産性向上を目指します。例えば、全社員の業務内容をスプレッドシートで可視化し、1ヶ月単位のタイムスケジュールを作成することで、業務の棚卸を行い、ルーティンワークを洗い出しました。この8割を占めるルーティンワークを効率化できれば、生産性は飛躍的に向上すると考えています。
衞藤:具体的には、どのような取り組みを考えていますか?
谷口さん:例えば、GASを活用して、ルーティンワークを自動化する仕組みを構築したいと考えています。
衞藤:なるほど。
谷口さん:また、以前は高額な業務システムを導入したこともあるのですが、結局使いこなせず、半年ほどで解約してしまいました。全部英語で書かれていて、誰も理解できなかったんです…。やはり、機能が多すぎたり、操作が複雑だったりすると、現場に浸透しないんですよね。
衞藤:そうですね。シンプルで使いやすいツールを選ぶことが重要ですね。
谷口さん:はい。その点、Google Workspaceは、直感的に操作できるツールが多いので、現場にも受け入れられやすいと感じています。
衞藤:Gemini(※7)などの最新技術の導入も検討されていますか?
谷口さん:はい。可能性は感じていますが、まずは既存のGoogle Workspaceの機能を最大限に活用し、本当に必要な機能を見極めてから導入を検討したいと考えています。
衞藤:課題は何でしょうか?
谷口さん:社員一人ひとりのITリテラシーを向上させることですね。DX推進には、全社員の理解と協力が不可欠です。特に、ゼロイチでシステムを構築できる人材は貴重なので、社内教育を通して育成していきたいと考えています。
衞藤:ヤマナミ麺芸社は、海外進出も視野に入れているそうですね。
谷口さん:はい、「九州の食」を世界に発信していくことが私たちの夢です。Google Workspaceは海外でも問題なく利用できるため、海外進出を強力にサポートしてくれると期待しています。
8.地方企業へのメッセージ
衞藤:最後に、これからDXを検討する地方企業の皆様へメッセージをお願いします。
谷口さん:DXは決して難しいものではありません。Google Workspaceは、直感的に操作できるツールが多く、サポート体制も充実しているので、安心して導入できます。私自身、ITとは無縁の職場から、独学でGoogle Workspaceを使いこなせるようになったので、誰でも使いこなせるはずです!
衞藤:早期導入のメリットは大きいですね。
谷口さん:はい、時代の流れに取り残されないためにも、競争優位性を築くためにも、早期導入をお勧めします。DXによって、地方企業も大きく成長できる可能性を秘めていることを、私たちの実例が証明しています。
アール株式会社は地方企業の成長を支えるパートナー
私たちアール株式会社は、ヤマナミ麺芸社のように、DXを通して地方企業の成長を支援しています。
Google Workspace導入支援はもちろん、活用方法のコンサルティングや、その他ITツール導入など、お客様の課題解決に最適なソリューションを提供します。
ヤマナミ麺芸社のDX成功物語は、地方企業にとって大きな希望となるはずです。Google Workspaceは、業務効率化、コスト削減、生産性向上など、多くのメリットをもたらします。
Google Workspace導入については、お気軽にご相談ください!
※1. Google Workspace
Googleが提供するビジネス向けクラウドサービス。Gmail、カレンダー、ドキュメント、スプレッドシートなど、さまざまなツールが利用できる。
※2. スプレッドシート
表計算ソフト。データの集計、分析、グラフ作成などが行える。GoogleWorkspaceのサービスの一つ。
※3. Googleフォーム
アンケート作成ツール。アンケートを作成し、回答を収集・分析することができる。GoogleWorkspaceのサービスの一つ。
※4. LookerStudio
データ可視化ツール。さまざまなデータソースからデータを取得し、ダッシュボードやレポートを作成することができる。GoogleWorkspaceのサービスの一つ。
GoogleWorkspace上で動作するスクリプト言語。GoogleWorkspaceの各ツールを連携させたり、自動化したりすることができる。
※6. Chatwork
ビジネスチャットツール。チームメンバーとのコミュニケーションを円滑にし、業務効率化を図ることができる。
※7. Gemini
Googleが開発したAIチャットボット。自然な会話で質問に答えたり、文章を作成したりすることができる。